年末調整の書き方

年末調整の時に会社に提出する「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」と「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の書き方を紹介します。

年末調整の書き方

更新日:2019/01/30 14:11:42 twitter Facebook はてブ LINE

毎年年末になると会社から渡される年末調整に必要な、「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」と「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の書き方を紹介します。

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年末調整とは

年末調整とは、日本の給与所得者(いわゆるサラリーマンやパート、アルバイトなど給料をもらっている人)は、確定申告を会社が代わりにやってくれる変わりに、所得税(いわゆる毎月給料から引かれている税金の1つ)が前払いになっています。
それに対して私のような個人事業主なんかは、所得税は毎月払わなくていい代わりに、翌年の2月から3月までに1年間の所得を計算して、自分で所得税の額まで計算して、その証拠として計算内容を提出する「確定申告」というものをやらなければいけないわけです。
で、サラリーマンの毎月払う所得税は、その月の給料の額によって「この給料の額だと、1年間に換算するとこれぐらいになるだろう」という予測から導き出されるわけです。
ただ、実際には1年間の給料の額(年収)から単純に所得税が導き出されるわけではなく、支払った社会保険(国民年金と健康保険)やら、奥さんがいる(専業主婦とか)とか、子供がいるとか、生命保険を払っている・・・などなど、そういったことにお金を支払っている人は、税金を安くしてあげましょう。という「控除」という仕組みもあるんです。
その控除というのは、毎月の給料からひかれる所得税の計算には入っていないので、年末の最後に、それらの払っている額を申告することによって、控除によって安くなった税金との差額を返してもらおうと。
それが年末調整になります。簡単に言ってしまうと。

給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書
給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書
給与所得者の扶養控除等 異動 申告書
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書

そのため年末調整の時にもらう紙の1つ「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」には、生命保険をいくら払ったか、地震保険はいくら払ったか、そして社会保険はいくら払ったか(ただし、ここで言う社会保険は給与から天引きされているやつではなく、会社をやめて職探し中に支払った年金や健康保険)などを記入します。
ここで記入した額が多ければ多いほど、返ってくる額は多くなるわけです。
ただし、じゃあ、適当に払っていないけれど払っていることにできるかって言うと、そううまい話はなくて・・・・

生命保険料控除証明書の例生命保険の会社から送られてくる、控除証明書を一緒に添付しなければなりません。
「えー。そんなはがききてたけれど、捨ててしもた~!?」なんていう人は、保険会社に発行してもらうよう頼めば、再発行してもらえるはずなので、頼んでみてください。

「なくしてしまったし、めんどくさいからいいわ」なんていう場合は、記入しなくて構いませんが、年収が高く、支払っている生命保険料も多ければ、払っている保険料の1割から年収が高い人だと2~3割ほど還ってくるので、意外と馬鹿に出来ません。
例えば、年10万円以上生命保険を払っている人は、所得税率10%だと1万円ぐらい。
住民税や健康保険料なども含めると、2万円近く税金が安くなります。

さて、ではここではまずはじめに「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」の記入の仕方を紹介します。
毎年毎年法令が変わるので、記入の仕方や用紙の内容は変わるのですが、今回紹介するのは平成24年度版です。

会社と自分の名前と住所を記入まずは、用紙の上の欄に、左から「所轄税務署長」の部分。
ここは会社がある場所の税務署になります。
まあ、ここは書かなくても会社か、会社が頼んでる税理士さんが書いてくれるとは思います。

その隣は会社の名前と住所です。
で、その隣に自分の名前、住所、そしてはんこを押します。

給与所得者の保険料控除申告書
続いて、左側の「給与所得の保険料控除申告書」の欄に行きます。
ここには支払っている生命保険、介護保険、個人年金の額を記入します。
先程も言いましたが、生命保険の会社から控除用の証明書が送られてくるので、その証明書を見ながら記載します。

生命保険料控除証明書の例「保険会社等の名称」は保険会社の名前ですね。
保険の種類なども記載されているはずです。

で、平成24年度から「平成23年以前に契約した生命保険」と「平成24年以降に契約した生命保険」とで計算方法が違ってきます。
詳しくは、生命保険料控除の改正と記入の仕方で紹介していますが、平成23年度以前に契約した生命保険料のほうが、平成24年度以降(新)に契約した場合に比べ、控除額が多いんですよね~。
私の場合は、平成23年以前(旧)に契約した生命保険なので、「旧」の方に丸を点け、控除額も支払った生命保険料の1年間の額が10万円を超えているので控除額も5万円になっています。(「新」だと最大で4万円)

その下は「介護医療保険料」と「個人年金保険料」になります。
よく勘違いする人がいるんですけれど、これは40歳以上から支払う公的介護保険の方ではなく、民間の介護保険に支払ったぶんになります。
平成24年度から民間の介護保険料も控除の対象になりました。
計算方法は、「生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」もどれも同じ以下のようになります。

計算式 I (新保険料等用) 計算式 II (旧保険料等用) 生命保険料控除額

(イ+ロ+ハ)
(最高120,000円)
A、C又はDの金額 控除額の計算式 B又はEの金額 控除額の計算式
20,000円以下 A、C又はDの全額 25,000円以下 B又はEの全額
20,001円から40,000円まで A、C又はDx1/2+10,000円 25,001円から50,000円まで B又はEx1/2+12,500円
40,001円から80,000円まで A、C又はDx1/4+20,000円 50,001円から100,000円まで B又はEx1/4+25,000円
80,001円以上 一律に40,000円 100,000円以上 一律に50,000円

このように、「新」と「旧」で違ってきます。

また、「生命保険料」と「介護医療保険料」と「個人年金保険料」と3種類あってそれぞれを計算するので注意してください。

生命保険料控除の計算式
3つの控除額を計算し、「生命保険料控除額 計 (イ+ロ+ハ)の部分に記入します。
なお、すべての控除額が12万円を超えた場合でも、最高12万が控除額の限界になります。

まあ、よくわからなければ控除用のはがきや通知と一緒に提出したら、会社が書いといてくれると思います。

給与所得者の配偶者特別控除申告書

給与所得者の配偶者特別控除申告
「給与所得者の配偶者特別控除申告」とは、簡単に言うとサラリーマンの奥さんが働いている場合です。
専業主婦の場合は「配偶者控除」なんですけれど、収入がある場合(パート以外に株や、不動産などの賃貸収入など)、「配偶者特別控除申告」が適用されます。
ここにはそれぞれの所得に応じた欄に、金額を入力します。
「給与所得」の部分の「必要経費」の部分に650,000円と記載されているのは、正社員・バート・アルバイトのような給料のような所得は、必ず「給与所得控除」というすんげーありがたい「控除」が適用されます。
つまり65万円以下の給与所得は、なしと見ることが出来るんですね。
で、さらに給与所得にかぎらず、すべての所得は38万円の「基礎控除」というものがあって、
65万+38万=103万
つまり俗にいう、103万円を超えると扶養から外れる。というのは、103万円まではなにも収入がなかったよ。と同じ状態に該当するからです。
ただし、これは給料についてのみ。
株やFX、家賃収入、さらに奥さんがアフィリエイトや事業を営んでいる場合は「給与所得」ではないので65万円の給与所得控除は適用されなくなります。

パートなどをしている奥さんの場合は、ここに1年間のパートの金額を記入。
そこから65万円を引いた値を「所得金額」に記入します。
パート収入以外の収入がなければ、そのまま「配偶者の合計所得金額」の「A」の部分に所得金額を記入します。

で、その下に配偶者特別控除控除額の一覧が載っているので、例えば1年間のパート収入が140万だったとすると、所得金額は75万円。
一覧から該当する部分は、3万円。
「早見表B欄の金額」に30,000円を記入します。

専業主婦だと「配偶者控除」で38万円の控除を受けることができますが、働いている場合このように奥さんの収入によって控除額が少なくなるので、103万円を超えると・・・というようなことが色々言われているわけです。

103万円を超えると損!?
と思っている人もいますが、実際には38万円の控除で戻ってくる金額は、所得税率10%だと3万8000円。
また、配偶者特別控除の控除額が0円になるのは、奥さんが141万円以上の収入がある場合。
働かなくて3万8000円が手に入るのと、働いて141万円が手に入るのと、どちらが多いか・・・は、比較するまでもありませんね。

社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除

社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除
続いて、右下の「社会保険料控除」と「小規模企業共済等掛金控除」について。
ここは普通に働いている人であれば、記入する必要はありません。
社会保険料控除は、給料から天引きされる社会保険ではなく、会社をやめたあとに一時的に国民年金や国民健康保険を払っていた時期があった場合、記入します。

国民年金は年末になると、控除用の証明書が届きます。(後述)
それらの通知に記入している1年間で払った金額を記入します。

小規模企業共済等掛金控除は、個人事業主やフリーライターなどの退職金制度のようなもので、サラリーマンは普通は加入することができないので、記入する必要はありません。
ただ、私のように個人事業主で小規模企業共済に加入していたのだけれど、事業をたたんでサラリーマンに戻った場合なんかは、支払った文を記入します。

国民年金控除証明書

国民年金保険料控除証明書
国民年金については、このように年末に控除証明書が届きます。
これを年末調整の用紙に貼り付けて提出すればOK。

国民健康保険料控除証明書

健康保険料の支払った金額
国民健康保険料については、年金のように証明書が送られて来ません(一部地域によっては送られてくる場所もあるらしい)。
また、国民健康保険料は、世帯主がその一家の保険料をまとめて払うので、注意が必要です。
国民健康保険料の支払った額については、市役所等に聞きに行くとこのような用紙に、支払った金額を書いてくれるので、それをもとに記入するといいでしょう。

地震保険料控除

地震保険料控除自宅に地震保険などをかけている場合は、一部、控除として認められます。
地震保険に関しては、「地震保険料」と「損害保険料」がありますが、「損害保険料控除」は平成19年度に廃止されました。
が、以下のものには認められるそうです。

地震保険料は、年間5万円を超える金額を支払っていれば、5万円。
5万円以下なら全額が控除されます。
損害保険料控除は、2万円を超える場合は、1万5000円。
1万円超2万円以下の場合は、支払金額÷2+5000円。
2万円以下の場合は、全額が控除になります。

もし、どちらも払っている場合、地震保険料控除と損害保険料控除をたした額が5万円を超える場合は、5万円が控除額になります。

以上で給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書の書き方の例は終わりです。
すごく長くなってしまいましたが、ほとんどの人が名前と住所を書いて、はんこを押せばOKだと思います。
ただ、生命保険料を払っていたり、転職して国民年金に切り替えていたり、あるいは奥さんが働いている人は、ちょっと付け足して記入する程度です。

給与所得者の扶養控除等 異動 申告書については次回、解説します。

 

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投稿日:2012/12/27 00:34:53
更新日:2019/01/30 14:11:42

 

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