寄附金控除とは

寄付をした場合、確定申告をすれば税金が安くなります。ただし、寄付によって所得税しか適用されなかったり、住民税も控除できたり、と、かなり難解のようです。

寄附金控除とは

更新日:2014/02/06 17:52:53 twitter Facebook はてブ LINE

このページでは、寄附をした場合の確定申告での申告の仕方を紹介しています。
ページの上から、寄附金控除について寄附金控除額の計算の仕方と例、そして実際の申告書の書き方の3つに分けて書いています。
もし、もう寄附控除は経験済みだから、計算の仕方だけ知りたい。なんて人は、前半については読み飛ばしてください。

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目次

寄付をした場合、確定申告で申告すれば税金が安くなる、というので、じゃあ、安くなったぶんで別の寄付をすれば、と思い、最終的に2012年度の私の初めての本格的な寄付活動は、合計159,000円になりました。
今年はこの倍ぐらいは寄付できればな、と思いつつ、確定申告で寄付金を控除するにはどうしたらいいのか、調べてみました。すると、意外とちょっとややこしいことがわかりました。
単にややこしいというだけでなく、所得税が寄付した金額の4割分安くなる、ということもわかりました。
ただし、場合によっては住民税の計算では控除されないこともあり、少し一筋縄ではいかないようです。

と、言うわけで市役所で色々聞いて、バッチリ理解してきました(たぶん)。

寄付金控除とは?

寄付金控除とは、国税庁が指定した団体、政党、NPO法人などなどに2,000円を超える金額を寄付した場合(平成23年度までは5,000円だった)に確定申告で申告すれば、そのぶんだけ税金が安くなる「控除」の1つです。
サラリーマンの場合、安くなるというより年末調整で返ってきます。
どれくらい安く(もしくは返ってくる)なるか、というと、「どこに」寄付したか、で変わるのですが、寄付した額の3~4割ほどは税金が安くなりそうです。つまり、10万円寄付しても、3~4万円は所得税(サラリーマンで言う源泉徴収税)が安くなる、と。

そもそも控除とは?

控除というのは、扶養家族がいると扶養控除で税金が安くなったり、10万円を超える医療費が出た場合、医療控除で税金が安くなったり、の、アレですね。
個人事業主でもサラリーマンでも申告すれば、その分税金が安くなり、サラリーマンの場合は年末調整で一部返ってきます。

「確定申告とか、むずかしそうだし、どうせたいした額戻ってこないだろうからいいや」

なんて言うとすごく損をします。というのも、寄付した金額の4割が戻ってくるかもしれないのです。

ただし、コンビニの募金用の貯金箱(?)にチャリーンと入れるような寄付は、認められません。
また、国税庁や都道府県、市町村が指定する団体等に寄付をしても、そこから送られてくる「控除証明書」が必要になってきます。

どんな寄付なら認められる?

国税庁のサイトによると、「個人が支出した寄付金の控除」の項目で、

と、書かれています。うーむ、よくわからない・・・。と、いうことでまとめてみました。

所得税と住民税が安くなる?

注意しなければならないのが、「寄附金控除」によって所得税は間違いなく安くなるのですが、住民税の控除は都道府県や市区町村の条例で指定された寄付先である必要があります。

所得控除と税額控除?

さらに、所得税の控除には「所得控除」と「税額控除(ぜいがくこうじょ)」を選択できるものがあります。
年収4000万円以上でない限り、「税額控除」で申告したほうが所得税が安くなります。が、「税額控除」で申告できるものとできないものがあります。
詳しくは、あとで解説します。

以下は、「所得控除」か「税額控除」で申告するのか、と、住民税も安くなるかを表にまとめたものです。

寄附金の区分 所得税 個人住民税
所得控除 税額控除
国に対する寄附金 -- X
地方団体に対する寄附金 --
ふるさと納税
指定寄付金(公益を目的とする事業を行う法人(国立大学法人等)又は団体に対する寄附金で公益の増進に寄与し緊急を要する特定の事業に充てられるもの) --  














独立行政法人 -- 都道府県・
市区町村が
条例で指定
すれば
試験研究、病院事業の経営、社会福祉事業の経営及び介護老人保健施設の設置及び管理を主たる目的とする地方独立行政法人 --
自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団、日本赤十字社 --
公益社団法人・公益財団法人(旧民法34条により設立された法人で科学技術の研究などを行なう特定の法人等を含む(平成25年11月までの経過措置))
私立学校法人で、学校の設置もしくは学校及び専修学校、もしくは各種学校の設置を主たる目的とする法人
社会福祉法人
更生保護法人
一定の要件を満たす特定公益信託に対し支出した金銭 --
特定地域雇用等促進法人に対する寄附金(平成25年11月までの経過措置) --
NPO法人に対する寄附金 都道府県知事・指定都市市長が認定したNPO法人
(※平成23年度改正前は国税庁長官が認定)
上記以外のNPO法人 X --
政党等に対する政治活動に関する寄附金  

証明書・領収書が必要

公益財団法人 プラン・ジャパンの特定寄附金領収証明書私の場合は、「公益財団法人 プラン・ジャパン」「公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン」の2箇所に寄付をしました。つまり「公益社団法人及び公益財団法人に対する寄付金」が該当しそうですね。
このようにコンビニに置いてある、プラスチックの貯金箱風の24時間テレビの募金やら、認められていないような募金は、いくら募金しても該当しないようです。

インターネットで寄付を募集している団体などは、サイトのとこかに「税制上の優遇措置」やら「寄付控除について」と書かれたページがあるので、そういった記述、ページが用意してあるところは、寄附金控除の対象になるかもしれません(詳しくはサイトで確認して下さいね)。

ちなみに私が寄付した「公益財団法人 プラン・ジャパン」と「公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン」はどちらも、「寄附金控除」も「寄附金特別控除」も、認められています。

所得税と住民税ではちと違う!?

ただし、住民税で控除してもらうには「ふるさと納税」や、住んでいる都道府県に住所があるものでないとダメなようです。

所得税と住民税に関しては、寄附金控除はちょっと違ってくるので、まずは所得税の控除について
住民税の控除が出来る寄附については、後述します。

所得税の寄付金控除

寄付金控除と寄附金特別控除の違いは?

公益財団法人等に対する寄付金は、「寄附金控除(所得控除)の適用」「寄付金特別控除(税額控除)の適用」か、有利な方を選択できるようです。
「へぇ、まぁ、どっちもそれほど変わらないんでしょ?」
と、思うなかれ、実は「寄附金特別控除」を選択した場合、寄付した金額によっては所得税が0円になるかもしれないんです。
それほどすんごい違いなんです。
どの寄付が「所得控除」と「税額控除」を選択できるか、は、左記ほどの表を参考にしてください。

では、寄附金控除と寄附金特別控除の違いを実際の計算で、解説してみます。

以下では、私の2012年の収入(収入金額 約751万円 所得金額 約602万円)で計算してみます。

寄付金控除の計算

まずは、「寄附金控除の適用」を選択した場合。(税金があまり安くならない方(笑)です)

寄付金控除(所得控除)

寄付金控除を選択した場合、「震災関連寄付」か「それ以外」かで計算が違ってきます。違いは、「震災関連寄付」の場合、控除額の最大が所得金額の80%まで。
「それ以外」の場合、控除額の最大が所得金額の40%まで、です。

震災関連寄附金以外の場合

その年に支出した特定寄附金の合計額 - 2,000円 = 寄附金控除額

2,000円になんの意味があるかわかりませんが・・・(平成23年度までは5000円だったようです)。
この寄附金控除額が、所得金額の40%を超えるようであれば、最大は所得金額の40%まで、ということになります。

震災関連寄附金の場合

震災関連寄附金 - 2,000円 = 寄附金控除額

また、震災関連寄附金の場合は、所得金額の80%までが寄附金控除額として認められます。

両方ある場合

その他の寄付と、震災関連寄附金の両方の場合は、その他の寄付(最大は所得金額の40%)と震災関連寄附金(最大は所得金額の80%)をたして、2000円を引いた額になります。

その年に支出した特定寄附金の合計額 + 震災関連寄附金 - 2,000円
 = 寄附金控除額

実際に計算してみる

私の場合、1年間に寄付した額の合計は、15万9000円だったので、

15万9000円 - 2,000円 = 15万7000円(寄附金控除額)

15万7000円が寄附金控除額になりました。続いてこの金額が所得金額の40%を超えたかどうか計算してみます。

所得金額とは「所得金額」とは、申告書のここ(画像参照)に記入する金額のことで、収入から必要経費などを引いた金額です。
儲けってことですね。
もし、サラリーマンの場合は、源泉徴収票に書かれている、「給与所得控除後の金額」の部分ですね。

例えば、私の2012年度の「所得金額」は、
601万9625円でした。
40%相当とすると、

601万9625円 x 40%
240万7850円

つまり、寄付した金額でも約240万円までは控除として認める。ということですね。
所得金額の40%というと、相当の収入でないかぎり、自分の生活費も危うくなってしまう額なので、ほぼ寄付金控除額は次の計算式で求める額になりそうです。

さて、「寄附金控除の適用」を選択した場合、私の寄附金控除額は、15万7000円になりました。

所得税を計算してみる

続いて、所得税を計算し、実際に寄付控除額を用いて計算すると、どれくらい税金が安くなるか計算してみましょう。

  金額 概要
収入金額 751万円 1年間の売上や税込みの給料の合計
必要経費 149万円 事業にかかった経費や給与所得控除など
所得金額 602万円 収入金額 - 必要経費
控除 268万円 所得から差し引かれる金額
ここに「寄附金控除」を加える
15万7000円
合計
283万7000円
課税所得 298万6000円 所得金額 - 控除
所得税 201,100円 課税所得 x 0.1 - 97,500円
解説

私の2012年の実際の「収入金額」は、約751万円でした。
必要経費や給与所得控除などを引くと、「所得金額」は、602万円ほどになりました。

「国民年金」の支払った額や「扶養控除」など 「所得から差し引かれる金額」(控除)の合計は、268万円でした。
「寄付金控除(所得控除)」の場合、この268万円に、先ほど求めた寄附金控除額(15万7000円)を足します。

268万円 + 15万7000円 = 283万7000円(所得から差し引かれる金額(控除))

「所得金額」602万円からこの「所得から差し引かれる金額」283万7000円を引きます。

602万円 - 283万7000円 = 318万3000円

所得税率は、10%で、控除額は97,500円なので、所得税は、

318万3000円 x 10% - 97,500円 = 22万800円(所得税)

所得税は22万800円になりました。
もし、寄附金控除を申告していなかった場合の所得税は、

( 602万円 - 268万円 ) x 20% - 427,500円 = 24万500円(所得税)

となり、1万2500円ほど寄附控除によって税金が安くなりました。
このように、「寄附金控除の適用」だと、ほんの少ししか税金が安くなりません。

寄附金特別控除(税額控除)の場合

先ほど、寄付金控除には2つ、「寄附金控除の適用」か「寄付金特別控除(税額控除)の適用」があると書きました。
上で計算したように、「寄附金控除の適用」だと、あまり税金が安くなりませんでした。(1万2500円)
ところが、「寄附金特別控除」では、

( 寄付した金額 - 2,000円 ) x 40%

が、返ってくるのです。
先ほどの私の例で言うと、15万9000円から2,000円を引いた40%なので、62,800円、税金が安くなるのです。

控除の種類 所得税 返ってくる
金額
所得控除 23万8000円 1万2500円
税額控除 17万7799円 6万2800円

同じ寄附金でも「寄附金控除」の場合、1万2500円しか安くなりませんでしたが、「寄附金特別控除」を選択すると、6万2800円が帰ってくるのです。
もし、所得税が24万円ぐらいの人が、70万円ぐらい寄付した場合、寄附金特別控除を選択すると、70万円の40%の28万円分税金が安くなるので、
24万円(所得税) - 28万円(寄付金特別控除額) = 0円
となり、所得税は0円(マイナスにはなりません)になってしまうことに!?

寄附金特別控除の計算

「寄附金控除」と「寄附金特別控除」では、求めた金額(寄附金控除額)が計算式で登場する場所が違ってきます。
最初に紹介した「寄附金控除」は、社会保険料控除や基礎控除などと同じ、「所得から差し引かれる金額」で使用します。つまり、下の計算式の①の部分で「寄附金控除額」を代入します。

収入金額(売上の合計や給料の税込金額) - 必要経費(サラリーマンの場合は給与所得控除)
 = 所得金額

所得金額 - 所得から差し引かれる金額(社会保険料控除や基礎控除など)
 = 課税される所得金額

課税される所得金額 x 所得税率 = 所得税

それに対して後者の「寄附金特別控除(税額控除)」は、①の場所で引くのではなく、②の所得税の金額から直接引きます。
いくら引けるの?

(その年に支出した特定寄附金の合計額 - 2,000円) x ●% = 寄附金特別控除

この●%に当たる部分が、どんな寄付か、によって違ってきます。

寄付した先 掛率 限度額
政党等寄付金特別控除 30% 所得金額の
40%相当
認定NPO法人等寄附金特別控除 40%
公益社団法人等寄附金特別控除
特定震災指定寄付金特別控除 所得金額の80%相当

例えば私の場合は、公益社団法人及び公益財団法人に対する寄付金に15万9000円寄付したので、

( 15万9000円 - 2,000円 ) x 40% = 62,800円

寄付金控除を申告しない場合、所得税は、24万500円だったので、

24万500円 - 62,800円 = 17万7700円(所得税)

「寄附金控除の適用」では、所得税が22万800円でしたが、「寄附金特別控除の適用」では、17万7700円にまで安くなりました。

なぜ寄付金控除と寄付金特別控除額が選べる?

寄付金特別控除のほうが税金が安くなるのに、なぜ2つから選べるようになっているのでしょう?
実は、私のようにそれほど稼ぎが多くない人は、寄附金控除を選択すると、寄付した金額の5~20%ほど(年収が少ないと5%。年収が600~700万ぐらいだと20%ぐらい)しか税金が安くならないのです。
寄付金特別控除は、寄付した金額(から2000円引いた金額)の40%、税金が安くなるので、年収800万以下ぐらいの人は、「寄付金特別控除」のほうが税金が安くなるわけです。

ところが課税所得1800万以上の人は、所得税率が40%になる(1800万円のうち、40%が税金で取られてしまう)ため、寄付金控除でも寄付金特別控除でもかわらないし、場合によっては寄附金控除のほうが税金が安くなることがあるのです。

そのため、どちらか税金が安くなる方を選択できるようになっているというわけです。

ただし、寄附金控除と寄附金特別控除が選べる条件があり、

個人が支出した政治活動に関する寄附金のうち政党若しくは政治資金団体に対する寄附金、認定NPO法人等若しくは公益社団法人等に対する寄附金又は震災関連寄附金のうち特定震災指定寄附金

となっています。震災への寄附金は、「特定震災指定寄付金」でないと「寄附金特別控除」を選択することが出来ません。
また、寄附金特別控除を選べなくても、住民税で控除出来るものもあり、寄附金特別控除の方が税金が安くなる、とは一概にいえないようです。
寄付によって「寄附金特別控除」が選べないわけですが、自分が寄付したお金は、選べるのか選べないのかわからない!と言う人は、簡単に調べることができるので、紹介します。

実際に申告してみる

さて、それでは、実際に確定申告で寄付金控除を申告してみましょう。と、いいたいところですが、「寄付金控除とは?」と「寄附金控除の計算の仕方」だけですごく長くなってしまったので、次のページで画像付きで申告用の用紙の書き方を紹介したいと思います。

関連サイト

 

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投稿日:2014/02/06 17:52:53
更新日:2014/02/06 17:52:53

 

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