寄付金控除 書き方と申告の仕方

寄付金控除を受けるには、確定申告で書類を提出する必要があります。今回は書き方と申告の仕方を紹介します。確定申告書等作成コーナーを利用すれば簡単に書くことが出来ます。

寄付金控除 書き方と申告の仕方

更新日:2014/02/10 10:52:30 twitter Facebook はてブ LINE

このページでは、確定申告の寄附金控除(きふきんこうじょ)の入力方法や計算方法を具体的な数字を元に紹介していきたいと思います。
寄付金控除は所得控除(しょとくこうじょ)の中でも最も複雑なのですが、逆にきちんと申告すれば寄付した額の4割ぐらい税金が安くなるので、ぜひとも寄付した人はこのページを参考に自分で確定申告してください。

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このページの目次

このページでは、e-Taxを使った寄附金控除の入力方法と、e-Taxを使わず紙で確定申告を提出する人用に、寄附控除の計算方法も紹介します。
ただし、寄附金控除の計算は非常に複雑なので、可能であればe-Tax(もしくは「確定申告書等作成コーナー」)を利用することをお勧めします。なお、e-Taxの使い方も当サイトで紹介しています。

寄附控除に必要なもの

控除証明書

寄附金控除を受けるには、それを証明するための「控除証明書」が必要です。
控除証明書は寄附した先からハガキか封筒で送られてきますが、この証明書が必要です。
※e-Taxで確定申告する場合は提出しなくてもOK。

すべての寄附が寄附金控除の対象ではないので注意!

逆に言うと、「控除証明書」を発行しない寄附先は、寄附金控除対象外となるので注意してください。
例えばYahoo!ネット募金やコンビニなどの寄附は、寄附金控除対象外となります。私はYahoo!ネット募金でも寄附をしていますが、寄附金控除では申告していません。
参照:Yahoo!ネット募金に対する税控除の優遇は受けられますか?

以下は、日本でも有名な寄附先でなおかつ、寄附金控除対象の寄附先です。

公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン

公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンこちらの画像は、「公益財団法人 プラン・インターナショナル・ジャパン」の控除証明書です。

公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン

世界自然保護基金ジャパンの控除証明書こちらは「公益財団法人 世界自然保護基金ジャパンの控除証明書」です。

認定NPO法人 国境なき医師団

認定NPO法人 国境なき医師団こちらは「認定NPO法人 国境なき医師団」になります。

公益財団法人 日本ユニセフ協会

公益財団法人こちらは「公益財団法人 日本ユニセフ協会」です。

今回の例

今回は、

の4つの寄附先を例に紹介します。なぜ4つも、かというと、実は寄附先によって微妙に計算の仕方が違ってくるのです。

準備

寄附金控除が可能か調べる

入力例

まず、すごくややこしいのですが、「寄附金控除」には、

の4つがあります。どういうことかというと、この4種類で計算方法が違ってくるのですね。
e-Taxだと選択するだけで複雑な計算をすべてやってくれるので、できればe-Tax(「確定申告書等作成コーナー」)を利用した申告がおすすめといったのはそのためです。

さて、では、自分が寄附した団体がどれに該当するか調べる方法を紹介します。

寄附金の種類の調べ方

ここでは神奈川県の横浜市の例を紹介します。他の都道府県、市区町村でも手順はだいたい同じなので参考にしてください。

神奈川県指定の寄附か

神奈川の寄付金税控除対象となる寄付先神奈川県が条例で指定する個人県民税の寄附金税額控除の対象となる寄附先の一覧表を開きます。
すると、一覧の中に

が記載されていました。つまり、この3つに関しては神奈川県で指定した寄附金になります。
ただし、

に関しては記載されていませんでした。つまり対象外ということです。

横浜市指定の寄附か

今度は、横浜市で個人市民税の寄附金税額控除の対象となる寄附金一覧を開きます。
すると・・・

が記載されていました。つまり、上の3つは、「神奈川県」も「横浜市」でも指定されている、ということになります。
基本的に神奈川県の場合は、県でも指定されている寄附先は、市町村でも指定されていることが多いです。

さらに、

は、横浜市でも指定されていません。
基本的に「公益財団法人」の場合は指定されている場合が多く、「NPO」は指定されていないことが多いようです。※ 全てではありませんが

他の県の場合

市区町村で調べる上は神奈川県に住んでいる場合の例ですが、他県でも

検索す(ググる)ると、すぐにヒットするので簡単に調べることができると思います。
どうしてもわからない!という人は、市区町村の「市民税課」等で聞けば教えてくれると思います。

e-Taxを使用した寄附金控除の入力の仕方

まずは「e-Tax」(確定申告書等作成コーナー)を使用した場合の入力例です。

寄附金控除をクリック国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を開き、必要に応じて「収入金額」や「所得金額」などを入力していきます。

するとこのようなページが表示されるので、「所得から差し引かれる金額」にある「(16)寄附金控除」をクリックします。

寄附金控除入力欄このような寄附金控除入力欄が表示されます。

まずは、「公益財団法人 プラン・インターナショナル・ジャパン」から入力していきます。

日付の入力

寄付金受領日まずは「日付」の入力ですが、これは寄付をした日になります。
控除証明書に記載されています。

日付を入力日付を選択します。

寄附日付を入力なお私の場合は、1ヶ月に○万円という感じで継続して寄附しているのですが、その場合は「12月31日」でかまわないと思います。

寄附の種類

公益社団法人又は公益財団法人等に対する寄付金日付の右横にある「寄附の種類」は、「公益社団法人又は公益財団法人等に対する寄附金」を選択します。

条例により指定した寄附金

先程も書きましたが、「公益財団法人 プラン・インターナショナル・ジャパン」は、「神奈川県」と「横浜市」の両方に指定された寄附になります。

住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定した寄付金なので、「住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定した寄付金」にチェックを入れます。

金額と住所

入力項目その下は「支出した寄附金の金額」「寄附先の所在地」「寄附先の名称」となっています。

公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン寄附金額を入力します。控除証明書に記載された金額を入力します。
今回の場合は、106,000円ですね。

住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定した寄付金その下に住所を入力します。
住所は控除証明書に記載されています。
なお、全て全角で書かなければならないようです。
また、28文字以内なので29文字以上になる場合は建物名は省いてしまってもOKです。

プラン・インターナショナル・ジャパンの入力例寄附先の名称を入力します。

2件以上ある場合

もう1件入力する2件以上ある場合は、「もう1件入力する」をクリックします。

認定NPO法人

認定NPO法人等に対する寄附金「認定NPO法人 国境なき医師団」の場合は、「寄附金の種類」に「認定NPO法人等に対する寄附金」を選択します。

住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定されていない寄附金

先程も書きましたが、「認定NPO法人 国境なき医師団」は、「神奈川県」にも「横浜市」にも指定されていません
なので、「住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定されていない寄附金」にチェックを入れます。

「寄附先の所在地」「寄附先の名称」は同じように入力していきます。

すべて入力し終わったら

入力終了をクリックすべて入力し終わったら右下の「入力終了」をクリックします。

確認画面

以下のようにすべて寄附金控除で入力した内容が表示されます。

寄附金控除、政党等寄附金等特別控除の入力内容確認

入力した寄附金の内容を確認の上、「次へ>」をクリックしてください。
内容を訂正、削除する場合は、「訂正」又は「削除」をクリックしてください。

No   寄附生年月日 寄付金の種類
寄付金の種類(詳細)
支出した寄付金の金額
1   平成 28・12・31 公益社団法人又は公益財団法人等に対する寄付金
住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定した寄付金
106,000円
2   平成 28・12・31 公益社団法人又は公益財団法人等に対する寄付金
住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定した寄付金
120,000円
3   平成 28・08・15 認定NPO法人等に対する寄付金
住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定されていない寄付金など
30,000円
4   平成 28・06・15 認定NPO法人等に対する寄付金
住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定されていない寄付金など
10,000円
5   平成 28・09・07 公益社団法人又は公益財団法人等に対する寄付金
住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定した寄付金
10,000円

6件以上入力した場合は、次のページ又は前ページをクリックして確認してください。

このようにすべての寄附の入力が済みました。
間違いがないか確認し、「次へ」をクリックします。

控除によって安くなった分計算結果が表示され、「所得控除」「税額控除」が表示されます。
「OK」をクリックします。

政党等寄附金等特別控除政党等寄附金等特別控除」に計算された金額が入力されました。

寄附した額と金額が違う?

さて、ここで気になることがあります。他の「所得控除」(「社会保険控除」や「小規模企業共済」とか)は、納めた額の合計が対象となりますが、今回は全部で276,000円を寄附したのに「政党等寄附金等特別控除」に記載されている額は、106,400円になっています。
どういうことでしょうか?

それが「所得控除」と「税額控除」の違いです。以下、2つの違いを見ていきます。

所得控除と税額控除の違いは?

「所得控除」は、「扶養控除」「配偶者控除」などをひっくるめた「所得金額」から引くことができる金額です。
それに対して「税額控除」は、「所得税」から直接引くことができる控除です。

所得控除

寄附金控除「所得控除」の場合は、申告書のここ(用紙の左下)に記載されます。

実は、年収などによって「所得控除」にした方が税金が安くなるのか、「税額控除」にしたほうが得なのか別れるのですが、「確定申告書等作成コーナー」で入力すると自動でお得な方に当てはめてくれるんですよね。
どちらが得かの具体的な計算は寄附金控除とはを参考にしてください。

基本的には「税額控除」の場合は、寄附した金額の4割、税金が安くなるのに対して、「所得控除」だと「課税所得(所得税を計算するためのもととなる金額。「所得金額」から「所得控除」を引いた金額)」によって安くなる金額が違ってくるのですが、4,000万円以上の高額所得者でない限りは「税額控除」のほうがお得になります。

政党等寄附金等特別控除「税額控除」だと申告書の右上の「政党等寄附金等特別控除」に金額が記載されます。
こちらだと、所得税からどーんと109,600円が引かれます。
このように「税額控除」だと節税効果がでかいです。

2016年に寄附した金額の合計が、276,000円でしたが、寄附金控除を申告すると所得税が寄附した金額の約40%ほど安くなるわけです。

実は、ふるさと納税も似たような仕組みで、国や住んでいる街に収める税金の一部を自分の好きな(?)団体などへ納めるのが「寄附」と「寄附金控除」になります。

以上で「e-Tax」または「確定申告書等作成コーナー」による寄附金控除の入力例です。

紙で申告する場合

「確定申告書等作成コーナー」で入力すれば、寄附金控除の計算もかんたんなんですけれど、中にはパソコンをもっていなかったり、e-Taxではなくて紙で直接税務署に申告する人もいるかと思います。
そこで以下では、確定申告書等作成コーナーを使わず、自力で計算して寄附金控除の計算をするやり方です。

寄附した金額

仮に1年間で寄附した金額が以下のようになったと仮定します。下の表で  色になっているのと  の2つがあるのは、この2つで計算を分けるためです。違いは、  の方は「認定NPO法人等寄附金特別控除」で、  の方は「公益社団法人等寄附金特別控除」になります。

寄付金の種類
寄付金の種類(詳細)
支出した寄付金の金額
認定NPO法人等に対する寄付金
住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定されていない寄付金など
10,000円
認定NPO法人 国境なき医師団
認定NPO法人等に対する寄付金
住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定されていない寄付金など
30,000円
認定NPO法人 国境なき医師団
公益社団法人又は公益財団法人等に対する寄付金
住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定した寄付金
10,000円
公益財団法人 日本ユニセフ協会
公益社団法人又は公益財団法人等に対する寄付金
住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定した寄付金
106,000円
公益財団法人 プラン・インターナショナル・ジャパン
公益社団法人又は公益財団法人等に対する寄付金
住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定した寄付金
120,000円
公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン
すべての寄附金額

1年間に支払ったすべての寄附金額は、276,000円①になります。
「認定NPO法人」に寄附した額が、40,000円(A)で、「公益社団法人」に寄附した金額が、236,000円(B)です。

収入金額と所得金額

さて、寄附金控除の計算に行く前に、1年間に入ってきたお金(「収入金額」と言います)から「必要経費」を差し引いた「所得金額」と、「所得税」(サラリーマンの場合は「源泉徴収税額」)の2つの金額が必要になってきます。
すでにこの2つの金額が算出されているものとします。

所得金額

所得金額経費に200万円かかったとして、所得金額は800万円とします。
サラリーマンの源泉徴収票で言うと、「給与所得控除後の金額」になります。

所得税(源泉徴収税)

サラリーマンやOLの場合は、会社から貰った「源泉徴収票」に記載されている「源泉徴収税額」が「所得税」の額になります。

認定NPO法人等 公益社団法人又は公益財団法人等 それ以外
40,000円(A) 236,000円(B) 0円(C)
寄附金額合計
276,000円 (D)
所得金額 所得税の額
8,000,000円 (E) 500,000円 (F)

公益社団法人等寄附金特別控除額の計算

まずは「公益社団法人等」の方から計算していきます。

説明 金額 番号
公益社団法人等寄付金の額(B) ¥236,000
①以外の寄付金の額(C) \0
①+② ¥236,000
所得金額(E) ¥8,000,000
上の額の40% ¥3,200,000
⑤ - それ以外(C) ¥3,200,000
①と⑥少ない方 ¥236,000
2千 - それ以外(C) ¥2,000
(⑦ - ⑧) x 40% ¥93,600
所得税の合計(F) ¥500,000
⑩ x 25% ¥125,000
⑨と⑪の少ない方 ¥93,600

⑫の金額が「公益社団法人等寄附金特別控除額」になります。93,600円ですね。

認定NPO法人等寄附金特別控除の計算

続いて「認定NPO法人等寄付員特別控除」の計算例です。

説明 金額 番号
寄附合計金額(D) ¥276,000
所得金額(E) ¥8,000,000
④の40% ¥3,200,000
⑤-NPO以外(B+C) ¥2,964,000
(A)と⑥少ない方 ¥40,000
2千 - ( B+C )
マイナスの場合は0
¥0
(⑦ - ⑧) x 40% ¥16,000
所得税(F) ¥500,000
⑩ x 25% ¥125,000
⑪ - 公益社団法人等寄附金特別控除額 ¥30,400
⑨と⑫の少ない方 ¥16,000

以上で「認定NPO法人等寄附金特別控除額」が計算できました。16,000円ですね。

政党等寄附金等特別控除

政党等寄附金等特別控除 = 公益社団法人等寄附金特別控除額 + 認定NPO法人等寄附金特別控除額
政党等寄附金等特別控除 = 93,600円 + 16,000円
政党等寄附金等特別控除 = 109,600円

政党等寄附金等特別控除以上で求めた金額を「申告書」の右上にある「政党等寄附金等特別控除㉛~㉝」のところに記入します。

仮に「所得税」が500,000円だとすると、寄附金控除の申告により、

戻ってくるお金 = 政党等寄附金等特別控除の金額

となり、サラリーマンやOLの場合は、109,600円税金が戻ってきます。

まとめ

今回は寄付をした場合の確定申告の仕方について紹介してみました。実際には寄付は非常に多岐にわたっていて、とても1ページで紹介できる内容ではないのですが、世界の恵まれない子どもたちへの寄付や震災への寄付をした場合などをピックアップして紹介してみました。
寄付をして、確定申告をすれば何割かが返ってくるわけで、できればもっともっと寄付できればな。と思います。

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投稿日:2014/02/10 10:52:30
更新日:2014/02/10 10:52:30

 

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