寄付金控除 書き方と申告の仕方
このページでは、確定申告の
寄付金控除は
スポンサード リンク
このページの目次
このページでは、e-Taxを使った寄附金控除の入力方法と、e-Taxを使わず紙で確定申告を提出する人用に、寄附控除の計算方法も紹介します。
ただし、寄附金控除の計算は非常に複雑なので、可能であればe-Tax(もしくは「確定申告書等作成コーナー」)を利用することをお勧めします。なお、e-Taxの使い方も当サイトで紹介しています。
寄附控除に必要なもの
控除証明書
寄附金控除を受けるには、それを証明するための「控除証明書」が必要です。
控除証明書は寄附した先からハガキか封筒で送られてきますが、この証明書が必要です。
※e-Taxで確定申告する場合は提出しなくてもOK。
すべての寄附が寄附金控除の対象ではないので注意!
逆に言うと、「控除証明書」を発行しない寄附先は、寄附金控除対象外となるので注意してください。
例えばYahoo!ネット募金やコンビニなどの寄附は、寄附金控除対象外となります。私はYahoo!ネット募金でも寄附をしていますが、寄附金控除では申告していません。
参照:Yahoo!ネット募金に対する税控除の優遇は受けられますか?
以下は、日本でも有名な寄附先でなおかつ、寄附金控除対象の寄附先です。
公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン
こちらの画像は、「公益財団法人 プラン・インターナショナル・ジャパン」の控除証明書です。
公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン
こちらは「公益財団法人 世界自然保護基金ジャパンの控除証明書」です。
認定NPO法人 国境なき医師団
公益財団法人 日本ユニセフ協会
今回の例
今回は、
- 公益財団法人 プラン・インターナショナル・ジャパン
- 公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン
- 公益財団法人 日本ユニセフ協会
- 認定NPO法人 国境なき医師団
の4つの寄附先を例に紹介します。なぜ4つも、かというと、実は寄附先によって微妙に計算の仕方が違ってくるのです。
準備
寄附金控除が可能か調べる
まず、すごくややこしいのですが、「寄附金控除」には、
- 住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定した寄附金
- 住所地の都道府県のみが条例により指定した寄附金
- 住所地の市区町村のみが条例により指定した寄附金
- どちらにも指定されていない寄附金
の4つがあります。どういうことかというと、この4種類で計算方法が違ってくるのですね。
e-Taxだと選択するだけで複雑な計算をすべてやってくれるので、できればe-Tax(「確定申告書等作成コーナー」)を利用した申告がおすすめといったのはそのためです。
さて、では、自分が寄附した団体がどれに該当するか調べる方法を紹介します。
寄附金の種類の調べ方
ここでは神奈川県の横浜市の例を紹介します。他の都道府県、市区町村でも手順はだいたい同じなので参考にしてください。
神奈川県指定の寄附か
神奈川県が条例で指定する個人県民税の寄附金税額控除の対象となる寄附先の一覧表を開きます。
すると、一覧の中に
- 公益財団法人 プラン・インターナショナル・ジャパン
- 公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン
- 公益財団法人 日本ユニセフ協会
が記載されていました。つまり、この3つに関しては神奈川県で指定した寄附金になります。
ただし、
- 認定NPO法人 国境なき医師団
に関しては記載されていませんでした。つまり対象外ということです。
横浜市指定の寄附か
今度は、横浜市で個人市民税の寄附金税額控除の対象となる寄附金一覧を開きます。
すると・・・
- 公益財団法人 プラン・インターナショナル・ジャパン
- 公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン
- 公益財団法人 日本ユニセフ協会
が記載されていました。つまり、上の3つは、「神奈川県」も「横浜市」でも指定されている、ということになります。
基本的に神奈川県の場合は、県でも指定されている寄附先は、市町村でも指定されていることが多いです。
さらに、
- 認定NPO法人 国境なき医師団
は、横浜市でも指定されていません。
基本的に「公益財団法人」の場合は指定されている場合が多く、「NPO」は指定されていないことが多いようです。※ 全てではありませんが
他の県の場合
- ○○県 寄附控除
- ○○市 寄附控除
で
どうしてもわからない!という人は、市区町村の「市民税課」等で聞けば教えてくれると思います。
e-Taxを使用した寄附金控除の入力の仕方
まずは「e-Tax」(確定申告書等作成コーナー)を使用した場合の入力例です。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を開き、必要に応じて「収入金額」や「所得金額」などを入力していきます。
するとこのようなページが表示されるので、「所得から差し引かれる金額」にある「(16)寄附金控除」をクリックします。
まずは、「公益財団法人 プラン・インターナショナル・ジャパン」から入力していきます。
日付の入力
まずは「日付」の入力ですが、これは寄付をした日になります。
控除証明書に記載されています。
なお私の場合は、1ヶ月に○万円という感じで継続して寄附しているのですが、その場合は「12月31日」でかまわないと思います。
寄附の種類
日付の右横にある「寄附の種類」は、「公益社団法人又は公益財団法人等に対する寄附金」を選択します。
条例により指定した寄附金
先程も書きましたが、「公益財団法人 プラン・インターナショナル・ジャパン」は、「神奈川県」と「横浜市」の両方に指定された寄附になります。
なので、「住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定した寄付金」にチェックを入れます。
金額と住所
その下は「支出した寄附金の金額」「寄附先の所在地」「寄附先の名称」となっています。
寄附金額を入力します。控除証明書に記載された金額を入力します。
今回の場合は、106,000円ですね。
その下に住所を入力します。
住所は控除証明書に記載されています。
なお、全て全角で書かなければならないようです。
また、28文字以内なので29文字以上になる場合は建物名は省いてしまってもOKです。
2件以上ある場合
認定NPO法人
「認定NPO法人 国境なき医師団」の場合は、「寄附金の種類」に「認定NPO法人等に対する寄附金」を選択します。
先程も書きましたが、「認定NPO法人 国境なき医師団」は、「神奈川県」にも「横浜市」にも指定されていません。
なので、「住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定されていない寄附金」にチェックを入れます。
「寄附先の所在地」「寄附先の名称」は同じように入力していきます。
すべて入力し終わったら
確認画面
以下のようにすべて寄附金控除で入力した内容が表示されます。
寄附金控除、政党等寄附金等特別控除の入力内容確認
入力した寄附金の内容を確認の上、「次へ>」をクリックしてください。
内容を訂正、削除する場合は、「訂正」又は「削除」をクリックしてください。
No | 寄附生年月日 | 寄付金の種類 寄付金の種類(詳細) |
支出した寄付金の金額 | |
1 | 平成 28・12・31 | 公益社団法人又は公益財団法人等に対する寄付金 住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定した寄付金 |
106,000円 | |
2 | 平成 28・12・31 | 公益社団法人又は公益財団法人等に対する寄付金 住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定した寄付金 |
120,000円 | |
3 | 平成 28・08・15 | 認定NPO法人等に対する寄付金 住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定されていない寄付金など |
30,000円 | |
4 | 平成 28・06・15 | 認定NPO法人等に対する寄付金 住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定されていない寄付金など |
10,000円 | |
5 | 平成 28・09・07 | 公益社団法人又は公益財団法人等に対する寄付金 住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定した寄付金 |
10,000円 |
6件以上入力した場合は、次のページ又は前ページをクリックして確認してください。
このようにすべての寄附の入力が済みました。
間違いがないか確認し、「次へ」をクリックします。
計算結果が表示され、「所得控除」「税額控除」が表示されます。
「OK」をクリックします。
「政党等寄附金等特別控除」に計算された金額が入力されました。
寄附した額と金額が違う?
さて、ここで気になることがあります。他の「所得控除」(「社会保険控除」や「小規模企業共済」とか)は、納めた額の合計が対象となりますが、今回は全部で276,000円を寄附したのに「政党等寄附金等特別控除」に記載されている額は、106,400円になっています。
どういうことでしょうか?
それが「所得控除」と「税額控除」の違いです。以下、2つの違いを見ていきます。
所得控除と税額控除の違いは?
「所得控除」は、「扶養控除」「配偶者控除」などをひっくるめた「所得金額」から引くことができる金額です。
それに対して「税額控除」は、「所得税」から直接引くことができる控除です。
所得控除
「所得控除」の場合は、申告書のここ(用紙の左下)に記載されます。
実は、年収などによって「所得控除」にした方が税金が安くなるのか、「税額控除」にしたほうが得なのか別れるのですが、「確定申告書等作成コーナー」で入力すると自動でお得な方に当てはめてくれるんですよね。
どちらが得かの具体的な計算は寄附金控除とはを参考にしてください。
基本的には「税額控除」の場合は、寄附した金額の4割、税金が安くなるのに対して、「所得控除」だと「課税所得(所得税を計算するためのもととなる金額。「所得金額」から「所得控除」を引いた金額)」によって安くなる金額が違ってくるのですが、4,000万円以上の高額所得者でない限りは「税額控除」のほうがお得になります。
「税額控除」だと申告書の右上の「政党等寄附金等特別控除」に金額が記載されます。
こちらだと、所得税からどーんと109,600円が引かれます。
このように「税額控除」だと節税効果がでかいです。
2016年に寄附した金額の合計が、276,000円でしたが、寄附金控除を申告すると所得税が寄附した金額の約40%ほど安くなるわけです。
実は、ふるさと納税も似たような仕組みで、国や住んでいる街に収める税金の一部を自分の好きな(?)団体などへ納めるのが「寄附」と「寄附金控除」になります。
以上で「e-Tax」または「確定申告書等作成コーナー」による寄附金控除の入力例です。
紙で申告する場合
「確定申告書等作成コーナー」で入力すれば、寄附金控除の計算もかんたんなんですけれど、中にはパソコンをもっていなかったり、e-Taxではなくて紙で直接税務署に申告する人もいるかと思います。
そこで以下では、確定申告書等作成コーナーを使わず、自力で計算して寄附金控除の計算をするやり方です。
寄附した金額
仮に1年間で寄附した金額が以下のようになったと仮定します。下の表で 色になっているのと の2つがあるのは、この2つで計算を分けるためです。違いは、 の方は「認定NPO法人等寄附金特別控除」で、 の方は「公益社団法人等寄附金特別控除」になります。
寄付金の種類 寄付金の種類(詳細) |
支出した寄付金の金額 |
認定NPO法人等に対する寄付金 住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定されていない寄付金など |
10,000円 |
認定NPO法人 国境なき医師団 | |
認定NPO法人等に対する寄付金 住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定されていない寄付金など |
30,000円 |
認定NPO法人 国境なき医師団 | |
公益社団法人又は公益財団法人等に対する寄付金 住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定した寄付金 |
10,000円 |
公益財団法人 日本ユニセフ協会 | |
公益社団法人又は公益財団法人等に対する寄付金 住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定した寄付金 |
106,000円 |
公益財団法人 プラン・インターナショナル・ジャパン | |
公益社団法人又は公益財団法人等に対する寄付金 住所地の都道府県及び市区町村の両方が条例により指定した寄付金 |
120,000円 |
公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン |
すべての寄附金額
1年間に支払ったすべての寄附金額は、276,000円①になります。
「認定NPO法人」に寄附した額が、40,000円(A)で、「公益社団法人」に寄附した金額が、236,000円(B)です。
収入金額と所得金額
さて、寄附金控除の計算に行く前に、1年間に入ってきたお金(「収入金額」と言います)から「必要経費」を差し引いた「所得金額」と、「所得税」(サラリーマンの場合は「源泉徴収税額」)の2つの金額が必要になってきます。
すでにこの2つの金額が算出されているものとします。
所得金額
経費に200万円かかったとして、所得金額は800万円とします。
サラリーマンの源泉徴収票で言うと、「給与所得控除後の金額」になります。
所得税(源泉徴収税)
サラリーマンやOLの場合は、会社から貰った「源泉徴収票」に記載されている「源泉徴収税額」が「所得税」の額になります。
認定NPO法人等 | 公益社団法人又は公益財団法人等 | それ以外 |
---|---|---|
40,000円(A) | 236,000円(B) | 0円(C) |
寄附金額合計 | ||
276,000円 (D) |
所得金額 | 所得税の額 | |
---|---|---|
8,000,000円 (E) | 500,000円 (F) |
公益社団法人等寄附金特別控除額の計算
まずは「公益社団法人等」の方から計算していきます。
説明 | 金額 | 番号 |
---|---|---|
公益社団法人等寄付金の額(B) | ¥236,000 | ① |
①以外の寄付金の額(C) | \0 | ② |
①+② | ¥236,000 | ③ |
所得金額(E) | ¥8,000,000 | ④ |
上の額の40% | ¥3,200,000 | ⑤ |
⑤ - それ以外(C) | ¥3,200,000 | ⑥ |
①と⑥少ない方 | ¥236,000 | ⑦ |
2千 - それ以外(C) | ¥2,000 | ⑧ |
(⑦ - ⑧) x 40% | ¥93,600 | ⑨ |
所得税の合計(F) | ¥500,000 | ⑩ |
⑩ x 25% | ¥125,000 | ⑪ |
⑨と⑪の少ない方 | ¥93,600 | ⑫ |
⑫の金額が「公益社団法人等寄附金特別控除額」になります。93,600円ですね。
認定NPO法人等寄附金特別控除の計算
続いて「認定NPO法人等寄付員特別控除」の計算例です。
説明 | 金額 | 番号 |
---|---|---|
寄附合計金額(D) | ¥276,000 | |
所得金額(E) | ¥8,000,000 | ④ |
④の40% | ¥3,200,000 | ⑤ |
⑤-NPO以外(B+C) | ¥2,964,000 | ⑥ |
(A)と⑥少ない方 | ¥40,000 | ⑦ |
2千 - ( B+C ) マイナスの場合は0 |
¥0 | ⑧ |
(⑦ - ⑧) x 40% | ¥16,000 | ⑨ |
所得税(F) | ¥500,000 | ⑩ |
⑩ x 25% | ¥125,000 | ⑪ |
⑪ - 公益社団法人等寄附金特別控除額 | ¥30,400 | ⑫ |
⑨と⑫の少ない方 | ¥16,000 | ⑬ |
以上で「認定NPO法人等寄附金特別控除額」が計算できました。16,000円ですね。
政党等寄附金等特別控除
政党等寄附金等特別控除 = 公益社団法人等寄附金特別控除額 + 認定NPO法人等寄附金特別控除額
政党等寄附金等特別控除 = 93,600円 + 16,000円
政党等寄附金等特別控除 = 109,600円
以上で求めた金額を「申告書」の右上にある「政党等寄附金等特別控除㉛~㉝」のところに記入します。
仮に「所得税」が500,000円だとすると、寄附金控除の申告により、
戻ってくるお金 = 政党等寄附金等特別控除の金額
となり、サラリーマンやOLの場合は、109,600円税金が戻ってきます。
まとめ
今回は寄付をした場合の確定申告の仕方について紹介してみました。実際には寄付は非常に多岐にわたっていて、とても1ページで紹介できる内容ではないのですが、世界の恵まれない子どもたちへの寄付や震災への寄付をした場合などをピックアップして紹介してみました。
寄付をして、確定申告をすれば何割かが返ってくるわけで、できればもっともっと寄付できればな。と思います。
関連ページ
- 寄附金控除とは
- 寄附金を支出したとき|税について調べる|国税庁
- 手順3 寄付金控除|確定申告に関する手引き等|国税庁
- No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)|所得税|国税庁
- 手順6 住民税に関する事項(申告書第二表)を記入する|確定申告に関する手引き等|国税庁
- No.1263 認定NPO法人に寄附をしたとき|所得税|国税庁
- No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁
スポンサード リンク
投稿日:2014/02/10 10:52:30
更新日:2014/02/10 10:52:30
| このページのトップへ | |