赤字とは
2007/03/25 01:22
私が確定申告をしようと思い立った当時、とにかく用語も何もわからないので、ネット上の知人・友人で会社経営をしている人を捜し、いろいろ聞いた時期がありました。
正確に言うと、旦那が会社を経営していて簡単な経理を負かされている人たちに、いろいろ相談した時期がありました。
個人事業主と会社経営は、またシステムが違ってくるので、すべてが参考になるわけではありませんが、とにかく当時の私は税金の仕組み自体がわからなかったので、藁にもすがる気持ちであちこち知人・友人を捜し回った記憶があります。
私の親父が個人事業主なので、親父に聞けばいいのですが、どうも彼らも100%理解しているというわけではないので、こちらも用語の意味も知らないということもあり、会話がかみ合わないことがしばしばでした。
結局、誰かに聞いてもあまり参考にならないので、会計ソフトを導入して独学で始めることになるのですが・・・。
その当時、彼らから耳にしたのが「去年は赤字で申告した」とか、「事業を始めた最初の年は、赤字だった」等々。
そう「赤字」です。
そもそも赤字って何でしょう。
赤字
おそらく、当時の私のように税金の「ぜ」の字も知らない状態であれば、赤字の意味が曖昧なまま何じゃないでしょうか。
ここでは個人事業主や確定申告における「赤字」について、簡単に解説してみます。
赤字なのに生活できる?
私のように個人事業主の場合は、事業で得た収入のうち経費や社会保険等を差し引いたものがまるまる生活費になります。
サラリーマンでいう、「手取り」ってやつですね。
もし、赤字であれば、この手取りよりも支払いが多いということになり、生活費が0どころかマイナス?
赤字の意味
実際には、支払いが多くて本当に生活費も0円の事業主の方もいると思いますが、ここでいっている赤字は、確定申告の申告額のことになります。
もう少し具体的に見ていきます。
確定申告では、入ってきた(もしくは、今後入ってくる)お金の合計である「収入金額」から「必要経費」を引いた「事業所得」を求め、最終的に所得税の計算の元となる「課税所得」を求めます。
事業所得
このとき、事業所得はたいていの会社の場合0円以下になることはないと思います。
つまり、この段階ではどの会社も黒字なわけです。
もし、この事業所得時点でマイナスの場合は、ほんとの赤字。
まさしく生活費が0円状態です。
0円どころか、事業を行っている意味がありません。
サラリーマンでいえば、毎日8時間365日働いたのに給料が出なかったという状態です。
控除
課税所得は事業所得からいろいろな所得控除を引いた額になります。
この所得控除は、その人、その人によってまちまちです。
たとえば、専業主婦で稼ぎがない奥さんがいる場合は、38万円の控除を受けることが出来ます。
あるいは、国民年金・国民健康保険を支払っている場合は、全額が控除になります。
こうした所得控除を諸々足して、先ほどの事業所得から引いたものが「課税所得」になります。
んで、この所得控除が結構馬鹿にならない金額でして。
たとえば、平成18年度の私の所得控除の合計は、約160万円程でした。
つまり、事業所得が160万円以下であったのならば、私も赤字として申告していることになるわけです。
この辺については「所得控除を計算する」を参考にしてみてください。
もし、これから経理を覚えようと思っている方は、この辺の知識は曖昧でかまいません。
とにかく、経費以外にも「所得控除」というものが存在し、手取り分からこの控除金額を引いた額が、場合によってはマイナスになるということもあるということを覚えておいてください。
所得控除に関しては、一度確定申告を行えばほとんど理解できると思います。
社会保険は支払った額がすべて控除されるので、事業所得が社会保険料の合計以下だと、「じゃぁ、どうやって社会保険を支払ったの?」ということになるわけですが、まぁ、その場合は「今までの蓄えから・・・」ということになるわけです。
実際に、私も今年度(平成19年分)についてはかなり赤字になりそう(汗)なんですけれど・・・。
脱税
赤字と同じぐらいよく耳にしたのが「経費」です。
「車とかパソコンは、経費として・・・」とか、
「外食した場合は、領収書をもらって接待費として・・・」という感じ。
もちろん、事業として生じた支払いは経費に出来るのですが、どうも彼らの話を聞いているとそういったとらえ方をしていない。
とある見知らぬ方のブログ(社長さんらしい)を読んでいたら、税金を払うのはバカバカしいということが平然と書かれていました。
私の知人の話を聞いていても(当時は、税金について無知だったのであまりそう感じませんでしたが)、やはり税金で取られるぐらいなら・・・的な発想のようです。
当たり前かもしれませんが、すべての個人事業主や会社の社長がこのような考えで税金を払わなくなったら、日本は破産します。(実際には、サラリーマンが税金の前払いをしているので、全く0円になるわけではありませんが)
私の友人が、こうアドバイスしてきました。
「葬式とかの香典も経費になるから、家族や親戚で葬式に出席した場合は経費に計上している」
もちろん、脱税です。
香典が経費として認められるのは、事業・会社がらみの関係で出席した場合のみです。
たとえば、取引先の企業関係者等。
全く事業に関係のない、他の家族や親戚が出席した葬式(もちろん結婚式でもそう)は認められません。
が、現実には、経費として計算している人が多いと思います。
というのも、香典というのは領収書というものが存在しません(基本的に)。
たとえばあなたがお葬式に出席し、1万円の香典を包んでいったとします。
たいていは、受付で香典を渡すと思うのですが、「あの、領収書をいただけますか」なんて事はありませんよね。
つまり、「香典費を好きな金額に設定できる」っていうのと、「領収書がないので証拠が曖昧」という脱税を確信犯的におこなう人にとっては、都合がよいわけです。
昔私が勤めていた会社では、社長が奥さんの買い物用にレジェンド(当時600万!)を購入していました。
おそらく、社用車として購入したんだと思います。(当時の社長は、某ゼネコンの経理部長だったし)
つまり、生活費も事業の必要経費として計上している人が多いと。
そういう人たちは、食費や家賃、旅行に使った高速代等も、経費として計上しているでしょう。
この場合は、先ほどの事業所得が限りなく0に近くなっても、裕福な生活をしているということになります。
税金を支払うことは、決してバカバカしいことではありません。
自転車泥棒にあったから、他の人の自転車を盗む事はしないように、他の人が脱税をしているからといって、税金を支払うのはバカバカしいと思うのは間違いだと思います。
私のこのサイトでは、脱税指南書的な事は載せないつもりですが、上手な節税の仕方は取り上げていきたいと思います。
それと大事なこととして、「脱税」と「節税」は全く違います。
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