国民年金払ったほうがいい?無駄?

国民年金はどうせもらえないから、と払わない人がいますが、実際に計算すると、受給開始から7年から11年で元が取れる、非常においしいシステムだとわかりました。その計算結果を紹介。

会計ソフト de 確定申告
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国民年金払ったほうがいい?無駄?

2014/02/03 18:44

 

よく、「国民年金を支払っても、どうせもらえない」とか、「損するだけ」などと、Yahoo!知恵袋や教えて!gooでも、盛んに議論されていますが、実際にはどうなのか計算してみました。
ここで言う国民年金とは、会社の社会保険、つまり厚生年金ではなく、自営業や20歳以上の学生が加入する、国民年金になります。

支払額と支給額

国民年金の月々の支払額(負担額といいます)と、貰える額(給付額といいます)は、2017年に負担額16,900円/月に。給付額は786,500円/年月額65,542円)になります。
厚生年金(サラリーマンが加入する社会保険)の場合、夫婦で23万円/月と言われていますから、1ヶ月6万5542円しかもらえないの!?と、感じてしまいますよね。これが、ようは「国民年金を払っても、どうせもらえる額は微々たるものだから、加入してもしょうがない」という意見の根源になっている気がします。

国民年金は、20歳から加入し、65歳から給付が開始されます。
では、国民年金は本当に払い続けても損をするだけなんでしょうか?
少子化は確実に進んでおり、今の計算式が今後、そのまま用いられ続けることはない、ということは予想がつきますが、現在決定されている計算式の場合、払う額ともらえる額のバランスはどうなっているのでしょう。

国民年金シミュレーションと表の見方

・40年間国民年金を支払い続けた場合
・払わずに貯金(積立)した場合
・「死ぬまでに支給される金額の合計

をシミュレーションしてみました。
ここでは、仮に国民年金の毎月の負担額を16,900円とし、40年間支払い続け65歳から年額786,500円給付されると想定。また比較として、同じ額を年利0.3%の定期預金に積み立てた場合を比較します。

年月 国民年金を支払ってきた年月
負担額の合計 国民年金の支払額(負担額)の合計
貯金の合計 同じ金額を定期預金で積み立てた場合、金利0.3%で計算
差額 定期預金についた金利の合計
実際の支払額 税金が軽減される(返ってくる)ので、実際に国民年金として支払った金額の合計
(詳しくは後述
給付額の合計 65歳から国民年金を支給された場合の、もらった金額の合計
年齢 65歳から給付されると仮定

各項目の意味は、上のようになっています。

国民年金の支払額の合計まずは、40年間、貯金した額(積立の合計)と、国民年金支払った場合の総支払額(負担額の合計)の比較です。
年0.03%の金利がつくので、貯金したほうが若干多くなりますが、多くなると言っても11,163円しか金利がつきません。
また、国民年金を40年間支払い続けた場合、812万3163円ほど払う計算になりました。

いくつまで生きれば元が取れる?

給付額の合計さて支払額の合計、812万3163円を超えるには、何年間年金を給付されればよいのでしょうか?
1年間に786,500円の年金をもらった場合、なんと11年目(75歳の時)には支給された年金の合計は、865万1500円となり、支払ってきた40年間分の負担額を突破してしまいました。つまり、11年以上年金をもらい続ければ、プラスに転じる、ということになります。
年金は、65歳から給付されるので、75歳辺りで元が取れる(という言い方は変ですが)事になります。
2013年の日本人男性の平均寿命が、約80歳なので、ほとんどの人が国民年金を支払っても大幅にプラスに転じることがわかります。

どうせ俺は75歳まで生きられないよ

本当にそう思っていますか?
確実に言えることは国民年金を払っていなければ、受給年齢になっても1円ももらえない。という点です。

もっとも重要なのは控除だった!

40年間に支払う額実際には40年間で国民年金に支払う額は、812万円よりもずっと安いんです。
サラリーマンなら、年末調整を毎年行っていますよね。
そして毎年数万円ほど返ってきますよね。国民年金を支払うと、年末調整でいくらか返ってきます。
この仕組みのことを「控除」といいます。

こちらの表の「実際の負担額」は、仮に課税所得400万円(年収で言うと450~500万円ほど)の場合、所得税20%、住民税10%、国民健康保険10%と仮定し、その年の支払った国民年金の負担額の40%が確定申告で返ってくる(もしくはその分税金が安くなる)と考えた場合、実際に国民年金としていくら払ったことになるか、を計算した金額です。
簡単に言うと、課税所得400万円ぐらいの人は、1年間で20万2800円の国民年金を支払っても、4割に当たる8万1120円分(ぐらい)、税金が安くなる(もしくは返ってくる)ので、実際には12万1680円分しか支払わなくていいってこと、ですね。
実は、国民年金を払ったほうがいい!という意見があるのは、この「税金がうんと安くなる」ということから来ているんです。

もし、20歳から60歳まで課税所得が400万円ぐらいのままで、所得税や住民税などの税率が変わらなかった場合、負担した国民年金の分、税金が安くなる(返ってくる)ので、40年間で純粋に国民年金として負担した額は、たった486万7200円で済むことになります。

となると、控除や税金を考えてきちんと計算すると、年金を給付されてから7年目で給付額の合計が、550万5500円になるので、実際には年金をもらい始めてから7年目で支払ってきた負担額の合計を突破してしまうことになります。
つまり、71歳以上ですでに元が取れる、ということになります。

給付額を減らされたら?

全くもらえなくなる、ということはほぼありえないでしょうが、給付額を減らされる可能性はありうると思います。もし仮に、現在決まっている786,500円/年が50万円にまで減額された場合を考えてみましょう。
この場合でも、控除を考えると40年間に負担する国民年金の額は、486万7200円なので、ほぼ10年で負担した額を上回ることになります。つまり、75歳以上生きれば、プラスに転じるということですね。

受給期間の繰り上げがあったら?

もうひとつ考えられるのが、現在の65歳からの給付開始が、繰り上げ、つまり70歳からになったら・・・?しかも減額されて。
この場合、プラスに転じるのは80歳から。つまり、減額され、給付開始も70歳から、となった場合は、現在の平均寿命の約80歳以上でプラスに転じるので、ようやく、支払った額ともらう額がとんとんってことになります。
ただ、この場合も、どうせもらえないから。と、貯金もしなかった(たいてい「もらえないから」と言っている人は貯金すらしていません)場合に比べれば、もらえるだけマシですし、おそらく私の予想では(後でも書きますが)、この頃の平均寿命は飛躍的に伸びているので、やはり多くの人がプラスに転じると思います。

長生きすればお得

もし、現在の負担額、給付額のままだと仮定すると、100歳まで生き続けた時の給付額の合計は、2831万4000円にもなります。負担額の3倍(控除を考えると約6倍)にも膨らみました。

貯金した場合

さて、今度は国民年金を払わずに、その分貯金した場合を見てみます。年金をもらうには受給資格期間25年以上が必要と言われています。
毎月毎月16,900円を定期預金にまわし、年利0.3%というかなり高金利な銀行に預けた場合、40年間で812万3163円②になることになります。
40年間でついた金利の合計は、11,163円③。

もし、仮に80歳まで生きた場合、65歳から80歳までの15年間で貯まった812万円を割ると、

812万3163円 ÷ 15年 = 54万1544円

となり、1年間で使える金額は、約54万円になります。
1ヶ月に換算すると、4万5129円

俺は80歳で確実に死ぬ!1ヶ月に4万5129円で十分やっていける!

と、言う人であれば、国民年金を支払わずに貯金に回してもいいかもしれません。もちろん、40年間、毎月同額を貯金に回し続けることができれば、ですが。

寿命は今後伸びる?

先日、万能細胞の1つ、STAP細胞が新聞やニュースを騒がせました。実は、この万能細胞の作成の成功によって、寿命は飛躍的に伸びるでしょう。
それに、医学の世界は日進月歩で進化しているので、今後は寿命80歳どころか、どんどん伸びていくでしょう。
また、車の技術も、急な飛び出しによる事故を避ける車両安定制御システムなどが、飛躍的に進化し、交通事故の死者も減っていくと考えられます。
つまり、「国民年金なんて、払い続けてももらえないから損だよ!」と言って、払わずに貯金に回した場合、貯金を切り崩すしか収入がなくなってしまいます。

実際に私のまわりでも、「どうせもらえないから」と言って、払わずにきて、現在路上で生活(アパートを追い出された)人や、命を絶った人が、ここ最近見かけるようになりました。
私も実は、20代の頃は「どうせ40歳ぐらいで俺は死ぬから」と、本気で信じていました。が、40を超えてもピンピンしているし、なにより「もっと長く生きたい!」と、思うようになりました。

65歳になって、「じゃあ、今からなんとかするか」が、通じないのが年金なので、今から真剣に考えておかないと、あとで大変な目に遭うかもしれません。

国民年金だけじゃ足りないよ!

さて、国民年金がお得だということは計算から導き出せました。が、年額78万円程度では、どう考えても生活できそうにありません。ある試算では、老後は夫婦ふたりで1ヶ月29万円ほどかかる、とも言われています。年額78万円だと、1ヶ月6万5000円ほどしかならず、夫婦で13万円ほどにしかなりません。

そこで、他にももらえる額を増やす方法を考えてみます。

受給開始年齢の繰り上げ

未払い期間がある例えば私の場合、国民年金の未納期間が長かったので、このまま60歳まで国民年金を支払い続けても、年額43万円ほどしかもらえません。
日本年金機構のサイトでは、IDなどを登録すれば、過去の支払った期間を見ることができます。
私も一時、「年金なんてもらえないから、払ったってしょうがない。」と思い込んでいて、未納期間がありました。赤い太文字の「国年」が未納だった月になります。
数えてみると、だいたい43年生きてきて、3年分ほど未払い月があったようです。
そのため、今後、未納無しで負担し続けても、年額43万円しかもらえないようです。

そこで受給開始年齢を65歳から70歳に引き上げてみました。
すると、年額61万円ほどに増えました。
このように、給付開始年月(受給開始年齢)を引き上げることによって、1年間辺りに貰える金額を増やすことができます。
自営業の場合、その気になれば70歳まで働ける。という人もいるでしょうから、可能であれば、受給開始年齢を先送りにした方がいいかもしれません。

60歳以上になっても働き続ける

基本的には、国民年金を払うのは60歳までなんですけれど、収入がある場合などは、そのまま払い続けることもできます。当然その場合、給付される額も増えてきます。
もし、65歳になるまで今現在の自営を続け、60歳を超えても国民年金を支払った場合、どれくらいもらえるか、を計算してみました。
日本年金機構では、そうしたシミュレーションも計算できるようになっています。(先程の年額43万円も、同じサイトのツールで計算しました)

すると、受給額は年85万円まで飛躍的に増えました。もし40年間、未払い期間がなければもっと増えるかもしれません。

国民年金基金も加える

私は、国民年金以外にも国民年金基金にも加入しています。国民年金以上に危ない、と言われている国民年金基金ですが、国民年金と同じで全額控除されるので、税金の控除を考慮すると、やはり10年ぐらいで受給額が支払った額をオーバーしてしまいます。

私のように40歳ぐらいから加入し、65歳から受け取ると仮定すると(国民年金基金は60歳から受け取ることが出来る)、ほぼ支払った年額=もらえる年額のようです。
10歳若い30歳ぐらいから加入すると、支払った年額 x 1.7 = もらえる年額 ぐらい。

ただ、国民年金と同じで全額控除されるので、正確に計算すると、私の場合(43歳で課税所得400万円と仮定)は、支払った金額 x 1.6 = もらえる年額 になります。

国民年金基金の年金額現在、国民年金基金には約2万円/月程払っているのですが、現在のままの試算だと、65歳から年額25万円ぐらいもらえる計算になります。
先ほどの85万円と足すと、110万円/年ほどになりました。

小規模企業共済も加える

小規模企業共済の分割共済金さらに私は、やはり全額控除される小規模企業共済(サラリーマンで言う退職金のようなもの)にも加入しています。
現在、1ヶ月に7万円ほど払っているのですが、65歳まで加入したとし、共済金を15回に分けて受け取った場合、1回あたりのもらえる額は、約27万円になります。
先ほどの110万円を加算すると、約137万円になりました。

12ヶ月で割ると、11万4000円/月程になりました。国民年金を40年間払い続けた場合の給付額6万5000円/月より、だいぶ増えましたね。

あとは貯金や他の投資で補う

さて、国民年金も基金も、共済も「控除」を考えると、ある程度収入がある人は税金に支払う分を年金や共済に回してしまえば、あとで数倍になって返ってくる(税金として払っても、お金としては返ってきませんからね)事がわかりました。
が、じゃあ、儲けから生活費を引いた金額をすべて、こうした年金に回したほうがいいか、というとなかなかそうはいかないようです。

最大7万円まで まず、国民年金は月額16,900円と決まっていますし(2017年時)、国民年金基金は、最大月6万8000円。小規模企業共済も最大で、7万円/月までしか負担額を増やせません。
また、もらう時も年金控除を超える額(120万円/年)になると、それ以上の金額に所得税などがかかってしまいます。

なのでそれ以上に関しては、貯金、株などの投資、そして、以下に紹介する確定拠出年金を利用するのもいいかもしれません。

確定拠出年金とは

確定拠出年金とは、ようは国民年金と株などの投資のいいとこ取りのような年金で、国民年金や国民年金基金、そして小規模企業共済は、あらかじめもらえる金額が決まっていますが、株や国債、そして預金の中から好きな投資先などを自分で選択し、その運用成績によって、将来もらえる額が変わる年金です。
そのため、うまくいけば支払った金額の数倍がもらえる可能性もあるし、逆に元本を割ってしまう可能性もあるようです。
ただ、定期預金みたいな元本割れしないものも選択できるので、リターンは少ないけれど定期預金のような運用の仕方もできるようです。

定期預金と同じなら、わざわざ確定拠出年金でなくていいのでは?と思われるかもしれません。
年金や共済と違い、確定拠出年金は、手数料などもかかるようなのです。(年数千円ですが)
だったら、ふつうに銀行に預けておいたほうがいいのでは?

実は確定拠出年金も、全額控除されるのです。また運用益は非課税。
つまり、仮に年利0%の定期預金的な確定拠出年金を選んでも、所得税、住民税、健康保険料で課税所得の4割ほど取られるような人(年収600~700万ぐらいの人)は、支払った金額の4割、税金が安くなる(カ、かえってくる)わけです。

例えば確定拠出年金で、毎月4万円支払い続けた場合、4割の1万6000円が返ってくるわけで、2万4000円/月を支払っているだけ、ってことになります。
20年間、4万円を支払い続けると、合計960万円になりますが、仮に支払った分しか返ってこなかったとしても、実際には2万4000円 x 12ヶ月 x 20年 = 576万円 しか払っていないのに、960万円が返ってくる、ということになります。

確定拠出年金では、運用に日本株式、日本国債、外国株式、外国国債なども選択できるので、場合によっては、20年後には、960万円どころか1800万円ぐらいに膨らむ可能性も。
仮に運用に失敗しても、576万円以下にならない限り、まぁ、元本より減るってことはないわけです。

私も今年から確定拠出年金を始めようかと思っています。というか、かなりお得な制度だとわかったので、即、資料請求しました。(笑)

まとめ

基本的には何でもそうですが、○○だったら安全。XXだったら危険。という答えはないと思います。
私の父も、癌になりました。かと思えば、私と同じ年の同僚が、40歳という若さで仕事中脳梗塞にかなり、寝たきりになった人もいます。
20台、30代の頃は、自分の10年後、20年後など想像もできないので、私のように「払わなくていいや」という考えになりがちですが、今回のようにきちんと計算してみると、年金がどのようなものか数値として知ることが出来るかと思います。

もちろんお金の面だけでなく、長生きするための健康法も平行して考えていかなければならないと思います。
意外と、「払っておいた方がいい」「いや、払わなくても」というお金の議論はされても、健康については議論されなかったりします。
私も40歳を超えて、市から届いた安くがん検診を受けれるシステムを利用して、毎年がん検診をうけるようになりました。
そこで先生に言われたのが、「お酒は、本当は一滴も飲まないほうがいいですよ」ということ。
よく、お酒はほどほどなら体に良い。と言われたり、言う人がいますが、これも年金と一緒で、なんとなく漠然と「払った方がいい」「払わない方がいい」の議論と同じレベルなんじゃないかと思います。
ところが専門の医者のように、きちんと統計をとってみると、本来は飲まないほうがいい。という結果が数字として出てくるんじゃないかと思います。

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