給与所得から所得税を計算

個人事業の場合は関係ないんですけれど、サラリーマンの所得税がどうやって計算されるか探ってみました。

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給与所得から所得税を計算

2007/01/23 18:07

 

給与所得控除の上限が制限されたことや16歳未満の扶養控除がなくなったため、サラリーマンやパート、アルバイトの所得税の計算方法が変更になったので、一部、記事を修正しました。
所得税とは、サラリーマンなどの給与から毎年引かれる税金のことです。
その名の通り、給料にかかわらず所得(収入のこと)があった場合、幾つかの例外を除いて必ずかかってくるのが所得税です。
サラリーマンやアルバイトの場合は、給料から天引きされる先払いシステム(源泉徴収といいます)ですが、個人事業主や不動産、株など給与所得以外の所得に関しては、たいてい自分で所得税を計算して支払う「確定申告」を行なってから支払います。(個人事業主でも源泉徴収されて報酬が支払われることがあります)
いくつかの例外とは、「宝くじ」とか「生命保険の給付」などは収入であっても非課税なんです。

シミュレーション

給与所得者の所得税の計算は、月給手取り計算という素晴らしいサイトさんで行うことができます。が、今回は所得税とはどうやって決まるのか、解説しながら紹介したいと思います。
おそらく(昔の私もそうでしたが)、ほとんどの人が所得税がなんなのかよくわかっていないまま給料から天引きされていると思います。
所得税の計算はそれほど難しくはないので、ぜひ、自分で理解した上で計算してみてください。

ただし、サラリーマンやアルバイトの所得税の計算や個人事業主などの所得税の計算方法は、毎年微妙に変わったりするので、注意が必要です。
以下は、平成25年度以降の給与所得の所得税の計算例です。

年収400万の給与の場合の所得税のシミュレーション

サラリーマンで専業主婦と子供2人(17歳と14歳)がいるという設定で計算してみました。
年収は400万円とします。
また、奥さんも子供も全く収入がないものとします。
ちなみに、平成24年度から16歳未満のお子さんは、扶養控除の対象から外されました。
このため税金は上がりますが、その分子ども手当が増えたので、実際にはお子さんがいらっしゃる家庭は税金で支払う分より、子ども手当のほうが多くなっていると思います。

控除

所得税は収入(所得)が多ければ多いほど、多くなります。単に多くなるだけではなくて、「所得税率」自体が上がります。
例えば、年収が200万円程度の人の所得税率は5%ですが、400万円程度の人は20%と4倍にもなりますし、年収が3000万円ぐらいある人は、所得税率は40%にもなります。
ところが実際に給料明細を見てみると、年収400万程度の人でも20%も引かれていることはないと思います。
というのも、以下に紹介する「控除」という所得から生活などに必要なお金などを引くことによって、課税所得を低くしてくれるありがたい制度があるためです。
ここでは、代表的な控除を紹介します。

基礎控除

基礎控除は、納税者全員が無条件に控除され、38万となっています。
専業主婦や無職の人でも、38万円以下の収入であれば収入がなかったことと同一になり、所得税は一切かかりません。

給与所得控除

個人事業主など事業を行なっている場合、経費(仕事でかかったお金)は、所得から差し引くことができます。
ところが、サラリーマンなどはスーツや靴、カバンなどは自腹で購入しなければなりません。
そこでサラリーマンやアルバイトなどでは、経費を認めない代わりに、これぐらいの年収であれば、これぐらいの経費がかかっているだろう。という「給与所得控除」が適用されます。
実はこれ、すごくありがたい控除で、実際にはそこまで経費などかかっていなくても、給料に応じてほぼ強制的に認めてくれる控除で、領収書などもとっておかなくてもいいし、帳簿も付けなくてもいいしとめちゃめちゃありがたい控除なんです。

給与所得控除の計算方法は、平成25年度から以下のように変更になりました。
平成24年度までの計算方法では、1,000万円以上は「収入金額×5% + 1,700,000円」で統一されていたんですけれど、1,500万円超は245万円が上限になりました。
これにより、1,500万円超の年収の人は税金が上がることになりました。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
180万円以下 収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
180万~360万円 収入金額×30% + 180,000円
360万~660万円 収入金額×20% + 540,000円
660万~1,000万円 収入金額×10% + 1,200,000円
1,000万~1,500万円 収入金額×5% + 1,700,000円
1,500万円~ 2,450,000円(上限)

で、年収400万の場合の給与所得控除額は、

(400万 × 20% ) + 54万 = 134万

となります。
年収400万円の人は、この134万円を引いた266万円が課税所得(所得税の計算のもとになる所得金額)の計算に用いられます。
課税所得が266万円だと、所得税率は10%なのでいかに控除が減税に効果的かがわかるかと思います。

社会保険料控除

社会保険はその年度に支払った全額が控除されます。
社会保険とは会社で支払っている厚生年金、健康保険料などです。

扶養控除

収入がない家族(扶養している家族)は、一人あたり○○円という感じで、扶養した負担分程度を控除という形で、所得から差し引くことができます。
この控除を「扶養控除」といいます。
が、16歳未満のお子さんは子ども手当が支給されているので、扶養控除の対象から外されました。
詳しくは、給与所得者の扶養控除等 異動 申告書の書き方を参考にしてください。
扶養控除は、対象となる家族の年齢で計算が違ってきます。
以下は、平成24年度以降の扶養控除の計算方法になります。

区分控除額
一般の控除対象扶養親族
(16~19歳未満)
38万円
特定扶養親族
(19~23歳未満)
63万円
老人扶養親族
(70歳以上)
同居老親等以外 48万円
同居老親等
(納税者またはその配偶者の直系の父母・祖父母などで、納税者またはその配偶者と同居している人)
58万円

この場合、16歳の子供が扶養家族に当たり38万円の控除となります。
これが70才以上の親だったりすると、58万円の控除となりますね。
詳しい計算方法は、扶養控除を参考に。
なお、奥さんは(奥さんが働いていて旦那が主夫の場合も)扶養家族ではなく、次に紹介する配偶者控除が適用されます。

配偶者控除

扶養控除では、配偶者は認められないらしいんですけれど、配偶者控除の方で認められます。
今回奥さんは、無収入なので控除額は、38万円になりますね。

無収入か年収に応じて、「配偶者控除」か「配偶者特別控除」にわかれます。
収入がある配偶者の場合は、「配偶者特別控除」といって控除額が収入に応じて減っていきます。

詳しい計算方法は、以下のようになります。


配偶者のパート収入 配偶者控除額 配偶者特別控除額
103万円以下 38万円
103万円超105万円未満 38万円
105万円以上110万円未満 36万円
110万円以上115万円未満 31万円
115万円以上120万円未満 26万円
120万円以上125万円未満 21万円
125万円以上130万円未満 16万円
130万円以上135万円未満 11万円
135万円以上140万円未満 6万円
140万円以上141万円未満 3万円
141万円以上

今回の例では、専業主婦なので「配偶者控除」になり、控除額は38万円になります。

控除額を合計する

社会保険料控除(支払った社会保険料の全額)を51万3440円として、すべての控除を合計します。

38万基礎控除) + 134万給与所得控除) + 51万3440社会保険料控除
38万扶養控除) + 38万配偶者控除
= 299万3440

つまり299万3440円が年収の400万円から引かれ、残りが所得税の計算対象額となります。
※実際にはこれらの控除以外に「生命保険料控除」や「地震保険料控除」などがあり、支払った金額に応じてさらに控除額が多くなります。
詳しくは年末調整の書き方を参考にしてください。

所得税

年収から控除額を引いた値が、所得税の計算のもとになる課税所得になります。

400万円(年収) - 299万3440円(控除合計) = 100万6560円

所得税率

所得税率は以下のようになっています。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超 40% 2,796,000円

1,949,000円まで(課税される所得金額)は税率が5%になるので(※ 所得税の税率)、この場合所得税は5万328円になります。
実際に引かれていた所得税(源泉徴収税)の合計が、この所得税よりも多い場合は(たいていは多くなると思いますが)、年末調整をすることによって返ってきます。

以上はサラリーマン(パートやアルバイトなど含む)の所得税の計算でしたが、個人事業主などはもっと計算が複雑になります。
個人事業主の所得税の計算方法などは、当サイトで紹介しています。

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