国民健康保険の計算の仕方
国民健康保険の金額の計算は、今まで複雑そうに思っていて避けていたのですが、意外に簡単に(?)計算することが出来るので、実際に計算してみました。ただ、若干住んでいる市町村等によって、計算に使う数値が違っていたりするのですが、基本的な考えは同じなので、実際に私の所得や健康保険料などを元に、1から計算してみました。
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計算方法
用意するもの
国民健康保険は、前年度の収入によって額が決まります。なので、前の年の収入がわかるものが必要です。
サラリーマンであれば、「源泉徴収票」が。源泉徴収票は12月の給料確定後でないと計算出来ないので、もらえるのは1月とか2月になります。なので、それ以前に計算したい!という人は、給与明細の「住民税」という部分を12ヶ月分、足してください。
年の途中で会社を辞めた。なんて人も「源泉徴収票」が送られてくるはずです(この場合、最後の給料が出れば12月にならなくてももらえる)。
個人事業主や働いていない人、複数のアルバイトを掛け持ちしていた場合は、去年提出した申告書や、5月頃届く住民税の納付書を用意してください。
住民税がわかれば、すぐに計算できます。
計算してみる
まず、国民健康保険は「医療分保険料」と「支援分保険料」、そして、40歳以上55歳未満の人はさらに「介護分保険料」を合計した金額になります。
また世帯主に、家族の人数から求めた額を加算した金額が請求されます。
各計算に使われる値は、市町村や年度によって若干違うので、ここでは東京都中野区の数値を元に計算してみます。
区分 | 計算式 | |
---|---|---|
医療分保険料 | 均等割額 | 家族1人あたり30,600円 |
所得割額 | 総所得金額等 X 6.02% もしくは、住民税 X 60.2% |
|
最高限度 | 51万円 | |
支援分保険料 | 均等割額 | 1人あたり10,200円 |
所得割額 | 総所得金額等 X 2.34% もしくは、住民税 X 23.4% |
|
最高限度 | 14万円 | |
介護分保険料 | 均等割額 | 1人あたり15,000円 |
所得割額 | 総所得金額等 X 1.79% もしくは、住民税 X 17.9% |
|
最高限度 | 12万円 |
さて、これだけだとよくわかりませんね。上から順番に説明していきます。
健康保険料は「医療分保険料」「支援分保険料」「介護分保険料」の3つの合計だ、ということは先ほど書きました。
各保険料はさらに「均等割額」と「所得割額」の合計になります。
均等割額?
「均等割額」は、家族1人あたりにかかる最低金額で、家族の人数分を掛けた金額になります。
そのため収入がなくても最低家族一人あたりに、均等割額分だけかかるということですね。
中野区の場合、医療分保険料の均等割額は、3万600円ですが、横浜市は3万3720円と、市町村によってかなり開きがあるようです。
また、「医療分保険料:30,600円」と「支援分保険料:10,200円」と「介護分保険料:15,000円」の3つを足すと、55,800円(1年間)になります。
収入がなくても、最低1年間で5万5800円かかるってことですね。
所得割額とは
続いて「所得割額」に行きます。ここがちょっと健康保険料を複雑に見せている部分ですね。
医療分保険料の所得割額では、総所得金額等に6.02%を掛けたもの、となっています。
総所得金額等ってなんじゃ??と思ったら、いわゆる「課税所得」ってことらしい。
つまり個人事業主であれば、「収入金額」から「必要経費」を引いて、住民税の基礎控除(33万円)を引いた額、ということのようです。
サラリーマンやアルバイト、パートのような給与をもらっている人は、年収から給与所得控除を引いた額が、総所得金額等ってことのようです。
また、住民税は総所得金額の10%が住民税となるので、住民税の額からも計算ができるようです。
健康保険は住民税ぐらい払う必要が
「医療分保険料」と「支援分保険料」と「介護分保険料」それぞれの「所得割額」を求めるときの掛ける数値「6.02%」「2.34%」「1.79%」を足すと、10.15%にもなります。
これは住民税(10%)を超える金額になるということ!
健康保険料の金額を計算しなくても、住民税より多い額。と覚えておけば、間違いないでしょう。
では、実際に国民健康保険の料金を計算してみましょう。以下では、住民税から計算する方法と、住民税がわからない場合の計算の2つを紹介します。
また、計算がややこしくなるので、東京都中野区に43歳の私が一人暮らしをしている場合を仮定します。
住民税から求めてみよう
健康保険料の額を決める「総所得金額等」を調べるには、住民税を調べれば一発です。もし、サラリーマンのように住民税が天引きされている場合は、給与明細から引かれている額を12倍にしてください。もし、中途採用などで年の途中から勤めだした場合は、会社から「市県民税・特別徴収税額の通知書」をもらえば住民税の額が書かれていると思います。
私のように個人事業主や自分で住民税を支払っている場合は、このような納付書が4月か5月頃届くので、そこに載っています。
住民税は、必要経費や給与所得控除、そして基礎控除が引かれているのと、総所得金額の10%が住民税になるので、「所得割額」は、総所得金額等 X 6.02%ではなく、60.2%を掛けてください。
ようは、住民税の10倍が総所得金額等になるので、住民税を10倍にするか、かける数値(6.02%など)を10倍にするか、どちらかで計算すればOKです。
さて、では実際に計算してみましょう!
医療分保険料
上の例では、住民税の額が「 36,9500円 」(■で囲まれた部分)なので、「所得割額」は、
369,500円 X 60.2% = 222,439円
になります。このように住民税から所得割額を求めるときは、掛ける数値(6.02%)を10倍の60.2%にしてください。
で、均等割額の30,600円( X 家族人数)をこの金額に足します。今回は一人暮らしなので、30,600円 X 1人になります。
医療分保険料=222,439円 + 30,600円 = 253,039円
支援分保険料
続いて支援分保険料にいきます。計算方法は「医療分保険料」と全く同じ。ただ、「6.02%」が「2.34%」になっています。
こちらも、住民税から求める場合、2.34%を23.4%に10倍にして計算します。
支援分保険料 = 10,200円 X 1人 + 369,500円 X 23.4% = 96,663円
介護分保険料
40歳を超えている場合、「介護分保険料」が加わります。こちらも計算方法は変わらないですね。
介護分保険料 = 15,000円 X 1人 + 369,500円 X 17.9% = 81,1401円
国民健康保険料
では、この3つを足すと・・・
430,843円!!高っ!!!
実際には私は中野区に住んでいるわけではなく、均等割額や掛ける数値も違うので、もっと高くなっています。
住民税が36万9500円。国民健康保険料が43万843円。なので、少なくとも健康保険料1年間分で、課税所得の10%以上がとられてしまうんですね・・・。
所得税で20%。住民税で10%。健康保険料で1数%。
合計すると、課税所得の40%以上を税金で取られてしまうんですね~・・・。
逆に言うと、経費として計上すれば、購入金額の4割ぐらいは税金が安くなるか、戻ってくることになるわけですね。
うーん。節税は大切だ!
住民税がわからない場合
住民税は6月から引かれるので、それ以前に健康保険料の額を知りたい!なんて場合は、確定申告の申告書やサラリーマンの場合は、源泉徴収票から求めることが出来ます。
サラリーマンやアルバイト、パートの場合は、源泉徴収票を会社からもらうと思いますが、この源泉徴収票に記載されている、「給与所得控除後の金額」という部分になります。
もし、複数の会社に掛け持ちしている場合は、この「給与所得控除後の金額」をたした金額になります。
また、会社やアルバイトを辞めた場合、辞めた会社に頼めば、源泉徴収票を発行してもらえます。
また、私のように個人事業主の場合、確定申告で提出する「申告書」の「所得金額」の「合計」の部分の金額のようです。
私の場合は、個人事業主と会社勤めをしているので、給与所得と雑所得の2つの合計ですね。
不動産所得や株の配当などの収入がある場合も、当てはまります。
これらの金額が、総所得金額等ってことになるようです。家族で収入があれば、これらの合計になります。
ここでは計算が複雑になるので、東京中野区で43歳の私が一人暮らしをしていると仮定し、去年の所得金額は354万7600円だったとして、実際に計算してみましょう。
総所得金額
総所得金額は、「所得金額」に基礎控除(33万円)を引いた額になります。
354万7600円 - 33万円 = 321万7600円
区分 | 計算式 | |
---|---|---|
医療分保険料 | 均等割額 | 30,600円 X 1人 = 30,600円 |
所得割額 | 321万7600円 X 6.02% =19万3700円 |
|
合計 | 22万4300円 | |
支援分保険料 | 均等割額 | 10,200円 X 1人 = 10,200円 |
所得割額 | 321万7600円 X 2.34% = 7万5292円 |
|
合計 | 8万5492円 | |
介護分保険料 | 均等割額 | 15,000円 X 1人 = 15,000円 |
所得割額 | 321万7600円 X 1.79% = 5万7595円 |
|
最高限度 | 7万2595円 | |
合計 | 38万2386円 |
38万2386円。高っ!!(笑)
上限
さて、年収1000万以上の人のような高収入の人は、健康保険料が100万年を超えるのでしょうか?
実はちゃんと上限が決まっていて、中野区では「医療分保険料」は最高限度が51万円。
「支援分保険料」は最高14万円。
「介護分保険料」は最高12万円。合計すると、77万円。つまり、最高で77万円になります。(もちろん住んでいる市町村によって前後します)
私の友達で、個人事業主で1,000万円の収入がある人が居たのですが、健康保険の1階に支払う金額が、7万円なんだ。と言っていましたが、これは、その友人が健康保険を10回に分けて請求される地域に住み(支払い回数は住んでいる市町村によって違います)、保険料が上限に達していたってことですね。
支払い回数
さて、今も少し書きましたが、国民健康保険料の支払い回数は、市町村によって違うようです。
私の住んでいる場所は、年10回。
私のような個人事業主は、5月頃、支払い用の用紙が送られてくるので、1回1回払ってもいいし、まとめて一気に払ってしまっても構いません。
ちなみに私の住んでいるところでは、ペイジーに対応しているので、支払いは意外と簡単。ただ、ペイジーで払うと、たまに過去に払ってしまった保険料を再びペイジーで振り込んでも、エラーにならない時があり、何度か過払いしたことがあります。(後で通知が来て、次回の支払い分に回すか、戻ってくるか、どちらかになりますが
住んでいる場所によって大違い!
先ほど、住民税から健康保険料を求める計算では、東京都中野区の計算式を使用して計算をして、430,843円という結果が出ましたが、私の住んでいるところの数字で計算すると、53万円ぐらいになりました。
実は、東京は国民健康保険がすごく安く、神奈川はすごく高いみたいです。神奈川以外にも、兵庫などもすごく高いようです。
以下は、中野区、横浜市、宝塚市、福山市で健康保険がどれくらいになるか表にまとめてみました。
※スマホは横にスクロールできます
医療分 | 支援分 | 介護分 | ||
---|---|---|---|---|
東京都 中野区 |
均等割 | 30,600円 | 10,800円 | 15,000円 |
所得割 | 6.02% | 2.34% | 1.79% | |
平等割 | な し | |||
神奈川県 横浜市 |
均等割 | 33,720円 | 10,670円 | 13,800円 |
所得割 | 7.76% | 2.57% | 2.87% | |
平等割 | な し | |||
兵庫県 宝塚市 |
均等割 | 18,500円 | 8,600円 | 9,600円 |
所得割 | 5.70% | 2.00% | 2.30% | |
平等割 | 22,800円円 | 7,000円 | 5,200円 | |
広島県 福山市 |
均等割 | 30,186円 | 9,505円 | 11,510円 |
所得割 | 8.96% | 2.02% | 2.43% | |
平等割 | 19,920円 | 3,960円 | 3,840円 |
実際に40歳を超えた夫婦ふたり、子供なし。奥さんが専業主婦で収入が0の場合でどれくらいになるか、というと・・・
医療分 | 支援分 | 介護分 | ||
---|---|---|---|---|
東京都 中野区 |
均等割 | 61,200円 | 21,600円 | 30,000円 |
所得割 | 180,600円 | 70,200円 | 53,700円 | |
平等割 | な し | |||
神奈川県 横浜市 |
均等割 | 67,440円 | 21,340円 | 27,600円 |
所得割 | 232,800円 | 77,100円 | 86,100円 | |
平等割 | な し | |||
兵庫県 宝塚市 |
均等割 | 37,000円 | 17,200円 | 19,200円 |
所得割 | 171,000円 | 60,000円 | 69,000円 | |
平等割 | 22,800円 | 7,000円 | 5,200円 | |
広島県 福山市 |
均等割 | 60,372円 | 19,010円 | 23,020円 |
所得割 | 268,800円 | 60,600円 | 72,900円 | |
平等割 | 19,920円 | 3,960円 | 3,840円 |
このように「医療分保険料」「支援分保険料」で差がついてしまいました。
東京都 中野区 |
35万6100円 | 神奈川県 横浜市 |
44万4940円 |
---|---|---|---|
兵庫県 宝塚市 |
37万1400円 | 広島県 福山市 |
47万2050円 |
平等割
その理由のひとつが、場所によっては「均等割」「所得割」の他に「平等割」が含まれているからのようです。私の住んでいる街では、この「平等割」というのが、「医療分保険料」と「支援分保険料」、そして「介護分保険料」の3つで加算されるので、すご~く高くなる!
うーん。10万円も差があるとは・・・。
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投稿日:2014/01/27 18:50:07
更新日:2017/02/02 02:03:52
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