収支内訳書とは

個人事業主が白色申告を行う場合は、申告書B以外にも、収支内訳書と呼ばれる用紙に必要事項を記載して提出します。

会計ソフト de 確定申告
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収支内訳書とは

2009/01/28 20:47

収支内訳書とは、主にフリーライター・イラストレーターやネットショップ、アフィリエイトで生計を立てているような個人事業主が白色申告を行うときに申告書Bと共に提出する書類で、どっちかっていうと申告書Bより重要な(というか記入に手間がかかる)、いわば白色申告で最も重要な書類です。
申告書Bは、この収支内訳書に記入した数値を元に記入していくので、逆に言えば収支内訳書が出来てしまえば、あとはそれを見ながら申告書Bに数値を記入していくだけなので、簡単といえば簡単です。

これが収支内訳書だ!

初めて確定申告を行うとき、まず最初に頭に浮かんだ疑問は、確定申告ってなにを提出するんだろう?って事でした。
正解をいってしまえば、白色申告の場合は、申告書と呼ばれる派手な(?)用紙と、そして今回紹介する収支内訳書です。

収支内訳書記載例
上の画像が、収支内訳書の表面です。
実際に数値を入力してみました。
クリックすると拡大表示します。

収支内訳書の例

たぶん初めて目にする方にとっては、なにがなんだかさっぱりわからないと思いますので、主に大事な(というか代表的な)部分に的を絞って、記入例と説明を書いておきます。
難しそうに見えますが、実際には至極単純(足し算が出来ればOKレベル)。
特に会計ソフト(やよいの青色申告など)を使って入力すると、一発で印刷することが出来ます。
やよいの青色申告の使い方に関しては、やよいの青色申告の使い方を参照してください。

年度と住所・氏名

それでは収支内訳書をみていきましょう。

年度と住所・氏名等
収支内訳書の一番上の部分です。
平成□□年分収支内訳書という部分ですが、これは申告する年を記入します。
つまり、平成20年分収支内訳書は、平成20年1月1日から、12月31日までの収入についてになります(もちろん1月1日ではなく、年度の途中から始めた場合はその日付から12月31日までの収入)。
収支内訳書を書いた日の年ではありません

その下に事業主と事業所の住所を記入します。
自宅兼事業所の場合は、例のように同上でかまいません。

業種名は、事業でなにをしているか。ですね。
ま、作家とか翻訳家とか、イラストレーターとかアフィリエイターとかですね。

その隣の屋号は、会社名に当たる部分です。
屋号を決めてない場合は、自分の名前でいいらしいです。

税理士さんなんかを頼んでいる場合は、その右隣に必要事項を記入します。

収入金額

収入金額を記入する
さて、ではさっそく数値を記入していきましょう。
用紙の左側です。
この部分は、収入金額に関する項目です。
いわば売上。
(1)「売上(収入)金額」は、事業で入ってきた1年間の金額の合計を入力します。
(2)は、家事消費といって、たとえば物を売って生計を立ててる場合、その商品を自分のために使った場合の金額です。
たとえば、タイヤを販売している場合、自分の車に、事業で売っているタイヤを使った場合、そのタイヤを仕入れた金額になります。
ネットショップで生活品を売っている場合なんかは、当てはまるかもしれませんね。
私は特に物を売っているわけではないので、「0」を記入しました。

(3)「その他の収入」は、思わぬ事業以外の収入があった場合、その合計金額を。

これらの収入の合計を(4)に記入します。

その下の(5)から(9)までは物を売って生計を立てている人が、仕入れた額を記入していきます。

最後に、収入金額から仕入れ原価を引いた額を(10)に記入。

経費

経費を記入
次は経費に関する項目です。
領収書やレシート、明細書を探し出してください。
領収書やレシートのような明細がないと、経費として計上出来ません(出来るんだけれど、税務署になにか言われたときに、ちゃんと説明出来ないといけない。そのための証明書として領収書やレシートが確実)。
また、あくまで事業として必要な消費のみ経費として計上出来ます(事業で使わないのに、税金を安くするために・・・なんて場合、ばれたときに追徴課税をくらったりします)。

(13)の減価償却費は、事業用で使う高額な商品を購入した場合ですね。
たとえば車とか、農業を営んでいる場合トラクターとか。
減価償却に関しては、専用の計算方法があるので、減価償却 具体例を参考に。

(14)の貸倒金は、たとえばお得意先が倒産してしまってお金を払ってもらえなかった場合ですね。

(15)の地代家賃は、家賃です。
注意する点は、自宅兼事務所なんかの場合です。
この場合、自宅として使っている面積と、事業で使用している面積を割合を計算(このことを按分といいます)して記入します。
たとえば、家賃2LDKで8万円の場合、1年間で96万円になりますが、そのうちの1室を事業用として使っている場合、1室の面積を全体の面積で割って96万円にかけてやります。
この辺の計算方法は、厳密でなくてもいいんですけれど、税務署に聞かれたときにこういう理由でこの比率にしましたよ。と、パッと説明出来なくてはなりません。

(イ)は、租税公課といって税金や組合費で支払った金額の合計ですね。
ただし、所得税とか罰則で払ったお金は除きます。
事業で使っている自動車の重量税とか、青色申告会の会費とかですね。
あ、ちなみに住民税は含めることは出来ません。住民税はあくまで個人にかかる税金ですので。

(ハ)は、水道光熱費ですが、やはり自宅兼事務所にしている場合は按分が必要です。
詳しくは、電気代・電話代 経費を参考に。
私はすんごい細かく計算したんですけれど、だいたいこんぐらいの割合で使ってるよ。ってな感じでいいみたいです。

(ホ)は、電話代、携帯電話代、プロバイダー代ですね。
結構な額になるのでなんとしても明細書を探し出してください。(笑)
ソフトバンクは、過去半年分しか(ネットで)明細をみることが出来ないので注意。
そのほかにも、クレジットカードで支払っている場合、多くのクレジットカード会社が半年前までしか明細を(ネットで)みることが出来なかったりするので注意。

(ヌ)消耗品は、紙とかプリンターのインク代ですね。

(レ)雑費は、プリンターとか机とか、事業で使う物で減価償却出来ないぐらいの低額な物ですね。

で、それ以外の経費は、画像のように「その他の経費」みたいに追加して記入します。
画像の場合は、振込手数料なんかがこれに当たります。

で、それら経費の合計を(17)と(18)に記入します。

これはどれに該当するの?

ざっと経費についてみてきましたが、これはどれに該当するの?なんて言う場合も出てくるでしょう。
やよいの青色申告 のような会計ソフトを使うと、自動的に必要な項目に振り分けてくれるので是非活用してください。(按分も簡単)

所得金額を求める

さて、収入金額と経費の合計を求めることが出来たら、収入金額から経費を引くんですけれど、それが(19)になります。

(20)の専従者控除とは、家族なんかを従業員として雇っている場合の控除です。
詳しくはこちらを。

(19)から今の(20)の値を引いた額を(21)に記入します。

ここまで来れば収支内訳書の完成まであと少しです。
で、この(21)に書いた金額を申告書に記入します。

収支内訳書の裏側

収支内訳書の裏側
上の画像が収支内訳書の裏側です。

売上金額の明細

主な取引先のデータと、売上金額を記入
主な取引先の企業の名前と、住所、そして1年間にどれくらいの売上があったかを記入します。
取引先がたくさんある場合は、売上が大きい企業から記入していき、小さな売上の場合は「上記以外の売上先の計」に合計を記入します。

で、その合計を①に記入します。
ここの値が、収支内訳書の表の(1)と一致するはずです。

「仕入れ金額の明細」は、ネットショップとか物を販売している場合、その主な取引先を記入します。

減価償却

表の(13)に記入する減価償却の細かい数値を「減価償却の計算」に記入していきます。
細かい記入方法は、減価償却 具体例を参考に。

地代家賃の内訳

ここは家賃とか倉庫代等の金額等を入力します。

以上ざっと説明してきましたが、難しいのはこれらの資料集めです。
たとえば、売上の合計なんかは、「請求書」や発行した「領収書」、もしくはメールのやり取り等を探し出してきて、それらの金額の合計を求めなくてはなりません。

経費の場合は先ほども言った通り、証拠となる領収書や明細書が必要になってきます。

会計ソフトを使えば

オークションで3~4個物を売っただけ。
なんて場合は会計ソフトは必要ないかもしれません。
ところが、月に数カ所と取引している。とか、ネットショップやアフィリエイトで生計を立てているようなもう少し本格的な事業になってくると、それらの合計を計算するのが非常に大変になってきます。
仮に計算したとしても、どこか数値が間違っていたら全部計算し直し・・・。
それに、こういうお金はどこに記入するの?なんて事もちらほら・・・。

そこで強い味方になるのが会計ソフトです。
私は、やよいの青色申告を使っていますが、会計ソフトを使うと全くなんにも知らない状態でもだいたい1週間から2週間ぐらいでこの収支内訳書を完成させることが出来ます。(事実私がそうでしたw)
そのため、白色申告でも会計ソフトをもっていた方がぜんぜん楽です。
特に今後は青色申告で節税したい!なんて方は、ほぼ必須。
青色申告の場合、帳簿の義務が発生(白色でも300万を超える所得があった場合は、翌年から必要)するんですけれど、手書きなんかしてたらめちゃめちゃ面倒!
というか無理!(事実私がそうw)

というわけで白色申告でも会計ソフトがあった方がなにかと楽だし、なにより色々覚えるのが早くなります。

こんな場合でも

たとえば、通信費の場合・・・

通信費の入力例
こんな感じで入力していくだけ。
詳しくは、携帯電話代を経費で落とすを参考に。

経費の入力例
それ以外の経費も、こんな感じで入力していくだけ。
「相手勘定科目」の部分は、選択肢から選ぶだけ。

で、自動的に収支内訳書にそれらの合計を記入してくれます。

印刷するには

入力し終わったら印刷出来る
収支内訳書を印刷するには、「決算・申告」の「決算書」をクリックするだけ。

関連ページ

 

【 maou 】 2012/03/22 04:28

はじめまして。
私は既婚(女)で、夫が会社勤務しており、私自身は商業誌にて漫画家業をしている者です。
毎年の確定申告で、必要経費の計算のときに住居費・電気代などの計算はどうにかならないものだろうか…と、いつも頭を悩まされていたのですが、住居費や電気代が按分計算できるという情報を、当サイトで初めて知ることが出来まして、大変ありがたい情報を入手できたと感じております!
加えて、質問があるのですが、もしご回答いただければよろしくお願い致します!
現在、住居費や電気代やプロバイダー代は、夫の口座から引き落とされているのですが、領収証の名義が違っていたとしても、その領収証を添付すれば、私の申告で住居費や電気代などは按分できるのでしょうか?
ご回答何卒よろしくお願い致します。

 

【 管理人 】 2012/03/22 13:12

maouさん、こんにちは。
私は専門家ではないので、正しい答えができるかわかりませんが、一度税務署に相談して見ることをお勧めします。
私の個人的な意見としては、按分の計算の仕方も口座に関しても、税務署に尋ねられた時に、きちっと税務署の方を納得させることができるような説明が出来れば、大丈夫だと思います。
明細や領収書に関しては、税務調査に入られた時でも必ず見られるというわけではありません。
脱税目的でごまかす場合を除いては、それほど神経質にならなくても良いかと思います。