FXの確定申告の流れ

給料をもらっている人が、FXで得た利益が年間20万円を超えた場合、自分で確定申告をする必要があります。そのやり方を簡単に説明します。

FXの確定申告の流れ

更新日:2019/01/30 13:59:46 twitter Facebook はてブ LINE

サラリーマンが副収入としてFXで年間20万を超える利益が出た場合、自分で確定申告をしなければなりません。
確定申告というと、すごく難しいイメージがあると思うんですけれど、FXの確定申告はそれほど大変ではないので、それほどあわてる必要はありません。
ただ、注意しなければならない点がいくつかあります。

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くりっく365と相対取引

FXを始めている人、もしくはこれからはじめようと思ってちょっと調べたことがある程度の知識でも、FXには「くりっく365」という取引があるというのを目にしたことがあると思います。
FX会社には大きく分けて、「くりっく365」と「相対取引」の2種類があります。
外為オンラインとか、サイバーエージェントFXといったよく広告やインターネットで目にするFX会社は、「相対取引」になります。

くりっく365とは

くりっく365と相対取引では何が違うかというと、1つは手数料になります。
たいていの相対取引のFX会社では、手数料が無料だったり、スプレッドが1銭といった1つの取引にかかるコストが無料、もしくはすごく安いです。
それに対して、くりっく365は手数料がかかったり、スプレッドも高かったりします。
だいたいドル・円で片道(ドルを購入したときと、売ったときの両方でかかる)50~250円ぐらいかかるみたいです。

じゃあ、くりっく365にメリットがないのか。というと、もうひとつの違いとして、税金面で有利という面があります。
相対取引のFXで利益をあげた場合、利益によって税率が変わってきます。
簡単に言うと、利益が多ければ多いほど、税率自体が高くなるので税金が高くなります
たとえば、年収1億円を超える野球選手や、芸能人は、半分が税金で持っていかれる。なんていうことを聞いたことがあると思います。
それに対して、年収100万以下のアルバイトやパートでは、税金は半分どころか10分の1ぐらいで済んでしまいます。

くりっく365ではどんなに利益を上げても、税率は20%(所得税15%、住民税5% ※平成21年現在)と決まっているのと、損失が出た場合、つまり、投資した金額が減った場合、損失の額を翌年の利益から引くことができます。
FXで非常に多額の利益が出るとわかっているような場合(数百万から数千万)は、くりっく365のほうが有利になります。

相対取引によるFXの利益は、雑所得扱いになり、給与所得との合計によって所得税を求めます(超過累進税率)。
それに対して、くりっく365の場合、申告分離課税となり、FXの利益は単独で税金がかかります。
たとえば、年収600万円ぐらいのサラリーマンの場合、税率は30%程度になるため、FXでの利益が10万円ほどだとすると、税金は単純計算で3万円というかなりの額になってしまいます。
くりっく365の場合は、この場合2万円(税率は一律20%のため)程度になるため、1万円ほどの差になってしまいます。

100万円程度の利益があった場合、10万円の差になるかって言うと、税率自体が高くなるため、13万円ほどの差がつく可能性があります。

じゃあ、今度はくりっく365のほうがいいかって言うと、くりっく365では手数料がかかるため、手数料貧乏になる可能性があります。
私の友人は、相対取引でも手数料がかかるFX会社で取引をしている(昔は相対取引でも手数料がかかるのが普通だったようです)のですが、半年で手数料だけで9万円かかっていました。

そのため、どっちのほうがいい。というのは簡単には見分けられないのですが、初心者であれば、多くの人が使っている相対取引のほうがお勧めだと思います。

相対取引のFXの確定申告

さて、ほとんどのFXを始めている人は、相対取引のFX会社を使っていると思うんですけれど、どっちかわからない・・・なんて人は、FX会社のヘルプを参考にしてみてください。

私の場合、相対取引のFXを利用しているので、今回は相対取引をメインで扱っていきます。
今後、私も利益が安定して稼げるようになったら、くりっく365をはじめるかもしれませんが、そのときは当サイトでくりっく365の確定申告の仕方を説明していきたいと思います。

用意するもの

今回は、給与所得があり(つまりサラリーマンやフリーター)、副収入としてFX(相対取引)で20万を超える利益があった場合の確定申告の仕方です。
20万円以下の利益の場合、確定申告の必要はありません。
また、20万円以上の利益が出た場合でも、FXをはじめる、もしくは続けるのに必要なコスト(たとえば、プロバイダーや電話回線の月々の料金、そして携帯でFXをやっている場合は、パケット代等)の合計を利益から引いた額が20万円以下の場合も、確定申告は不要です。

だいたい20万円以下だろう・・・なんていうあいまいなままにしておくのではなく、それほど難しくないのと、FXで利益を得るには、常日頃、今現在どれくらいの利益・損失があるのか把握しておくことは大事なことなので、確定申告をおこなう必要がない人でも、1年間で得た利益を常に把握しておくといいと思います。

では、FXの確定申告に必要なものを説明していきたいと思います。

源泉徴収表

サラリーマンの場合、年末、もしくは年始に、源泉徴収票を毎年もらっていると思います。
フリーターや、サラリーマンの中でも源泉徴収票をもらってない。なんていう人もいるかもしれませんが、基本的に給与所得がある人は、会社から源泉徴収表を受け取ることになっています。
なので、もらってない。なんていう人は、会社側に発行してもらいましょう。
会社側は、断ることはできないはずです。

源泉徴収表には、1年間で発生した給与所得の総額(何も引かれてない額の合計)と、給与所得者控除という、経費に当たる控除、そして、給与所得の総額から給与所得者控除を引いた額の合計、源泉徴収税額の合計(月々引かれている所得税の合計)、それから社会保険の合計等が書かれています。

FXの確定申告には、給与所得の総額と、源泉徴収税の額、そして社会保険の額の合計が必要になってきます。
自分で生命保険や、民間の個人年金に入っている人は、それらの額から控除される額も記入されています。

確定申告書

次に、確定申告書が必要です。
これはお近くの税務署に赴いて用意する必要があります。
この確定申告書が、税務署に提出する書類、そしていろいろな数値を書き込む書類になります。
確定申告書には、AとBがありますが、FXの相対取引の場合、記載がちょっと簡単な確定申告書AでOKなんですけれど、今回は、個人事業主やアフィリエイトのような副業の確定申告にも使える、確定申告書Bを用意します。

税務署にいったら、申告書Bをください。といえば、説明書とともに無料でもらえます。
注意しなければならないのは、税務署と市役所、区役所は待った区別の建物になります。
市役所にいって確定申告をしたい。なんて言っても「税務署に行ってください」なんて門前払いを受けてしまうので注意。
また、1~3月中は、非常に混んでいるので自動車以外で行ったほうがいいかもしれません。
もしくは、比較的すいている4~12月のうちに行ったほうがいいでしょう。

エクセル

エクセルのような表計算ソフトは、1年間で得たFXの利益の合計を求めるのに必要です。
ただ、エクセルやオフィスは高額なので、互換性のソフトでかまいません。
エクセルやオフィス互換のソフトは、いろいろなところから発売されていますが、互換性が最も高いといわれているキングソフトオフィス2010 スタンダードがおすすめです。
5000円ほどで、マイクロソフトのオフィスの10分の1ほどの金額で手に入れることが出来ます。
ただ、表計算ソフトは、必ず必要ってわけでもないんですけれど、表計算ソフトがあると、単に利益の合計を求めるだけでなく、日々の利益・損失の管理もできるので、FXをはじめるなら必須になってくると思います。

各FX会社は、1つ1つの注文・決済について日付、金利、損益といった情報をCSV形式でダウンロードできます。
自分の使っているFX会社からCSVをダウンロードすると、エクセルがインストールされていると、自動で起動しますから、1月1日の0時0分から12月31日の23時59分までのCSVをダウンロードします。

領収書

FXの相対取引は、利益全部がそのまま税金の計算に使われます。
たとえば、年収200万円のサラリーマンとFXだけで200万円の利益があった人と比べると、同じ額の収入なのに、所得税・住民税の額がまったく違ってきます。
これは、給与所得の場合、給与所得者控除という「控除」があるからですが、FXの場合、こうした控除がありません。
そのため、なるべくFXでかかったコスト(経費)は、利益から引いておきたいものです。

ただ、これだけかかった。という自己申告制なんですけれど、その証拠が必要です。
領収書は提出する必要はありませんが、経費の合計額を求めるためと、仮に税務調査が入った場合、提出を求められるかもしれません。
経費として計算した領収書は、7年間保管しておく必要があります。

基本的には、月ごとに分けておくほうがいいんですけれど、FXの場合、それほど経費がかからないので、1年間分の領収書をまとめてとっておいてもいいと思います。
領収書は、たとえばクレジットカードの明細や、携帯の明細も含まれます。
また、FX関連の書籍を購入した場合、レシートでもかまいません。
私はレシートをとっておくのがめんどくさいので、たいていネットでクレジットカードで購入して、その明細を元に計算しています。

やよいの青色申告

サラリーマンの副収入としてのFXの場合、白色申告になるんですけれど、主たる収入がFXの場合は、青色申告で申告することも可能です。
青色申告は、FXでの取引を細かく帳簿付けしたり、経費でかかったお金も帳簿につける必要があるんですけれど、そのぶん税金が安くなります。
また、FX以外にアフィリエイトやオークション、その他の副業で収入を得ている場合は、やよいの青色申告といった確定申告ソフトがあると、知識がなくても帳簿付けができます。

青色申告をしたい。とか、他に副業もやっている。帳簿のつけ方がわからない。なんて人は、やよいの青色申告を用意しておくと、初めての人でも複式簿記をつけることができます。
私は、FX以外に副業(というか自営業)もやっているので、やよいの青色申告は必須です。

やり方に関しては、当サイトで画像・動画付で説明しているので参考にしてください。
※ 会計ソフトの使い方 参照
なお、自分が青色申告できるのかどうかは、税務署で相談してください。
基本的には、給与所得がある人は給与所得者控除という控除を受けることができるので、白色申告になると思います。

手順

さて、準備ができたら、さっそく確定申告書を記入してみます。
具体的な記入方法は、別のページで説明しますので、ここでは簡単な流れを説明します。

FXの利益の合計を求める

自分が取引しているFX会社のHPから1年間分の取引のデータをダウンロードします。
このダウンロード方法は、各FX会社によって違います。
詳しくは、FX会社のHPを参考にしてください。
私の使っている外為オンラインでは、先ほど言ったようにCSVをダウンロードできます。
ダウンロードしたデータをエクセルで開き、スワップ金利と決済損益の合計を求めます。
私の場合、FXをはじめて取引したのが7月のはじめごろだったんですけれど、12月31日までに70万ぐらいの利益が出ました。
売買した回数は、1000回を越えたのでとても1つづつ計算機で足していくことはできません。
そんな時エクセルが役に立ちます。
詳しい使い方は別のページで説明します。

経費の合計を求める

FX取引を続けるにあたって必要なコストの合計を領収書や、明細書を元に足していきます。
このとき注意しなければならないのは、たとえば、FXの場合、インターネットが必須になってきますが、電話回線やADSL、もしくは光ファイバーの月々の料金や、プロバイダーの料金は、FX以外の自分の娯楽や、調べごととしても使っているので、按分といって比率を決める必要があります
たとえば、1日のうちに3時間、FXをやっていて、1時間はYouTubeやニュースサイトの閲覧にかけているとしたら、プロバイダーや電話回線の料金のうち、4分の3が経費として計上することができます。
そうした比率を決めることを、按分といいます。
按分は一度決めたら、そのまま翌年もその比率を使い続けます。
また、税務署に尋ねられたときに、その比率を決めた理由を聞かれる可能性もあります。
そのため、今説明したように、按分比率の説明がきちんとできるように、メモで残しておくといいと思います。

同じようにして携帯でFXの取引をやっている人は、携帯でFXをする割合がどれくらいか決めて按分しておく必要があります。
按分の詳しい説明は、当サイトの按分とはを見てください。

申告書Bに記入していく

上の二つの額に、源泉徴収表に書かれている金額で申告書Bに記入する数値のデータはそろいました。
申告書に自分の名前と住所を記入し、必要な場所に上記のデータを入力していきます。
どこに何を記入するかは、別のページで説明します。

税務署に提出する

税務署は平日しか開いていないので、基本的には平日に提出するほうがいいんですけれど、会社を休めない人は、郵送でもOKです。
ただし、提出期限に届くように間に合わせてください。
また、申告書を記入していくと、支払うべき税金の額が判明します。
提出した日が、納付期限になるので、税金分の現金が必要です。
銀行振り込みも可能ですが、3時までに振り込まないといけないので、あらかじめ用意しておくほうがいいかもしれません。

提出の際は、ハンコが必要です。
必ず持っていくようにしてください。

注意点

FXの確定申告は、意外と難しくありません。
足し算と引き算、そして掛け算ができればできてしまいます。
ただ、最もめんどくさいのと手間がかかるのが、経費の計算の仕方です。
上で説明したように、経費として計上するには、領収書が必要です。
その領収書や明細を探し出す作業が一番めんどくさいかもしれません。
そのため、これからFXをはじめようと思っている人は、プロバイダーの明細や携帯電話の明細、そしてクレジットカードの明細はすべて同じファイルケースにまとめておくといいと思います。

それと、年の途中で会社を退社してしまった場合、源泉徴収票をもらう必要があるんですけれど、変な辞め方をしてしまうと、その会社に請求しにくい。といった問題が出てきます。
FXで利益が出て、給与所得があった場合は、相対取引の場合、給与所得の合算で税金を求めます。
そのため、源泉徴収表は必須です。
確定申告時も、源泉徴収表を一緒に提出しなければなりません。
そのため、会社を辞めるときは、あらかじめ源泉徴収表を発行してもらっておくか、後で請求できるように、波風を立てないように退職しておく必要があるかもしれません。

詳しい記入方法や、ソフトの使い方、また確定申告に関する説明は別のページで詳しく説明していますので、参考にしてください。
また、FXでは1割しか利益を上げている人はいない。といわれるほどギャンブル性が高い投機ですが、私の平成21年の実績のように、慎重に取引をおこなえば、初めての人でも利益を上げることができると思います。

そのため、1年でこれぐらいの利益を上げる!というような目標は立てずに、なくなっても生活に支障をきたさない額ではじめてください。

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投稿日:2010/01/20 01:15:04
更新日:2019/01/30 13:59:46

 

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