消費税を申告する手続きは必要?

前の前の年の課税売上高が1000万円を超えると、個人事業主でも消費税を支払う必要があります。そのために必要な書類の提出を解説。

消費税を申告する手続きは必要?

更新日:2019/02/03 18:30:39 twitter Facebook はてブ LINE

前の前の年の課税売上高が1000万円を超えると、その年は消費税を納める義務が生じます。この事を「課税事業者となる」といいますが、あらかじめ住んでいる地区(納税地を所轄する)の税務署に書類を提出する必要があります。特に「簡易課税制度」を利用するためには、原則として適用とする課税期間の開始日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届書(しょうひぜいかんいかぜいせいどせんたくとどけで)」を提出しなければならないとなっています。

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目次

消費税課税事業者届出書とは

消費税課税事業者届出書消費税課税事業者届出書(しょうひぜいかぜいじぎょうしゃとどけでしょ)」とは、いわば「私は課税事業者ですよ」ということを税務署に宣言するための書類で、国税庁のサイトでは「基準期間における課税売上高が1,000万円を超えたことにより課税事業者となる場合の手続」と書かれています。

国税庁のサイトでは提出時期は、「事由が生じた場合、速やかに」と記載されていますが、2年間の猶予がある(1,000万円の課税売上高があってから)ので、私の場合は「課税期間」に提出しました。
具体的に言うと、私の場合は「平成28年度」の課税売上高が1,000万円を超えました。(不動産を売却したり、生命保険の満期等色々な収入が重なったので決して収入が良いわけではありませんが・・・)
これにより2年後の平成30年度の確定申告で、消費税を収める必要があります。
で、「消費税課税事業者届出書」は平成30年度中に提出しました。
平成29年度に提出すると、平成29年度分も消費税を納める必要があるかもしれないと思ったからです。
まぁ、実際には「消費税課税事業者届出書」に「適用開始期間」(消費税を収め始める期間)を記入するので、早目に提出しても構わないんですけれどね。

書類はどこで手に入る?

私の場合はいろいろ聞きたいことがあったので、税務署に直接足を運びました。直接税務署に行くと、書き方を詳しく教えてもらいながら記入することが出来るので、一番おすすめです。
もし、行く隙がないというのであれば、[手続名]消費税課税事業者届出手続(基準期間用)からもPDFをダウンロードできるので、自分で印刷してから入力し、提出しても構いません。

消費税課税事業者届出書を出さないと?

提出しなかったからと言って消費税を納めなくても良くなるわけではありません。が、必要な書類が送られてこなかったり(e-Taxを利用する場合は関係ありませんが)、また税務署の方から提出してくださいという通知などが届く可能性があるようです。

基準期間とは?

「消費税課税事業者届出書」には、「基準期間用」ともう一つ「特定期間用」というものがあるのですが、一般的には「基準期間用」を使用します。
「基準期間」とは「納税義務の判定の基準となる期間」で、個人事業主の場合は「前々年」(法人の場合は「前々事業年度」)になります。
つまり2年前の「課税売上高」が1,000万円を超えた場合ですね。
超えた場合なので、1000万円ピッタリの場合は関係ありません。
消費税を納める必要がない場合は、「免税(めんぜい)事業者」と呼ばれています。

特定期間とは?

もう一つの「特定期間」とは、前年度の1月1日から6ヶ月(6月30日)の間になります。前々年の課税売上高が1,000万円を超えなくても、この特定期間に課税売上高が1,000万円を超えると消費税を納める義務が生じます。
また、仮に3月10日から事業を開始した場合でも、6月30日が特定機関の終了日となります。
7月1日以降に事業を開始した場合は、特定期間を過ぎているので関係ありません。
詳しくは、国税庁のサイトの特定期間の判定を参考にしてください。

課税売上高とは

「免税事業者」の場合は、消費税込みの売上高の合計になります。
例えば、フリーライターがある年の1年間の収入が500万円だったとすると、500万円が「課税売上高」となります。(ちなみに「課税所得」は、「所得金額」から「所得控除」を引いたもの)
「課税事業者」の場合は、消費税を引いた売上高の合計(上の例の場合、454万545円 *消費税10%の場合)が「課税売上高」となります。

消費税分はもらっていない?

Webライターや個人のデザイナーのようなフリーランサーの場合、物を売るわけでは無いので、「消費税分はもらってないよ!」と思うかもしれませんが、実際には消費税込みと考えるのが一般的です。(この辺はあやふやでグレーゾーンなことが多い)
数年前ぐらいからアフィリエイトでも、消費税込みで支払われるようになりましたが、以前はこの辺があやふやでした。

私のような弱小個人事業者は基本的には、課税売上高は1000万円に届かない人も多いので、クライアントも消費税込みなのかあやふやのまま契約している人もいるかも知れません。なので、なるべく課税事業者になる可能性がある場合は、クライアントに確認しておいたほうがいいかも。

消費税課税事業者届出書の記入例

消費税課税事業者届出書の入力例それほど難しいことを書くわけではありませんが、基準期間(1000万円を超えた期間)の売上高の金額がわからないといけません。あとはハンコも必要ですね。
税務署に足を運ぶ場合はこれらを用意しておいてください。

必要なもの

1.ハンコ
2.基準期間の売上高がわかるもの(申告書など)

消費税簡易課税制度選択届出書

消費税簡易課税制度選択届出書消費税課税事業者届出書を提出するときは(必要であれば)、「消費税簡易課税制度選択届出書」も同時に提出しておくといいかもしれません。
「消費税簡易課税制度選択届出書」とは、通常消費税の計算は売上高に含まれる消費税を足し、経費や仕入れで支払った消費税の合計を引く(仕入控除税額)のですが、「簡易課税制度」では、「売上高」から「みなし仕入率」をかけて「納付する消費税」を計算します。
*簡易課税制度については別ページで詳しく計算方法を紹介します

簡易課税と原則課税の違い

簡易課税

納める消費税 = 売上高 x みなし仕入率
*実際にはもう少し複雑な計算になる

原則課税

納める消費税 = 預かった消費税 - 仕入れ・経費等で支払った消費税

簡易課税制度のメリット

支払う消費税が少なくなる可能性がある

簡易課税制度のメリットとしては、経費があまりかからない事業の場合でも「仕入控除税額」が発生すること。
例えばアフィリエイトのようなあまり経費がかからないような事業の場合、受け取った消費税がそのまま納付する消費税になります。が、簡易課税制度を利用すると(本来はそれほど経費がかかっていないのに)一定金額の経費がかかり(つまり仕入控除税額が発生し)、納付する消費税を少なくすることができます。

ただし逆に経費や仕入れが多かった場合は、支払う消費税が多くなる可能性もあります。

納める消費税の計算が簡単

会計ソフトを使っていれば「簡易課税」でも「原則課税」でも、納める消費税の額は自動で計算してくれるので、あまり関係ないのですが、副業(株や不動産所得、アフィリエイトなど)をしているサラリーマンが申告する場合などは、計算が楽になります。

簡易課税制度のデメリット

消費税が増える可能性がある

せどりのような仕入れが多い事業の場合は、かえって消費税が増える可能性があります。

2年間継続

「簡易課税制度選択届出書」を提出した場合、2年間は戻すことができません。
2年目から仕入れ・経費がかかる事業を始めてしまった場合でも、「簡易課税制度」を続けなくてはなりません。

なお、詳しい「本則課税」と「簡易課税」の違いは、消費税の簡易課税と本則課税の違いとは<を参考にしてください。

消費税簡易課税制度選択届出書 記入例

消費税簡易課税制度選択届出書の入力例記入もそれほど難しくはないのですが、自分の事業の該当する事業がなんなのかを把握しておく必要があります。
よくわからない場合は、税務署に行って尋ねてみると教えてくれるでしょう。(注)必ず年末までには確認しておくこと。年をまたいでしまうとどこの税務署も激混みで、特に2月半ば以降は駐車場も満杯であることが多い

みなし仕入率と該当する事業


事業区分 みなし仕入率 該当する事業
第一種事業 90% 卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業)をいいます。
第二種事業 80% 小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第一種事業以外のもの)をいいます。
第三種事業 70% 農業(※)、林業(※)、漁業(※)、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含みます。)、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業をいい、第一種事業、第二種事業に該当するもの及び加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除きます。
※平成31年(2019年)10月1日を含む課税期間(同日前の取引は除きます。)からは、農業、林業、漁業のうち、消費税の軽減税率が適用される飲食料品の譲渡に係る事業区分が第三種事業から第二種事業へ変更されます。
第四種事業 60% 第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業及び第六種事業以外の事業をいい、具体的には、飲食店業などです。
なお、第三種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も第四種事業となります。
第五種事業 50% 運輸通信業、金融・保険業 、サービス業(飲食店業に該当する事業を除きます。)をいい、第一種事業から第三種事業までの事業に該当する事業を除きます。
第六種事業 40% 不動産業

株やFX、アフィリエイト等の場合は「第5種事業」になりますね。

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投稿日:2019/01/07 19:18:05
更新日:2019/02/03 18:30:39

 

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